有料音楽配信サービスが世界的に好調、日本は依然低迷 報告
AFP=時事 3月20日(木)10時58分配信
【AFP=時事】国際レコード産業連盟(International Federation of the Phonographic Industry、IFPI)が18日に発表した報告書によると、違法ダウンロードを通じて音楽を入手せずに、会員制のストリーミングサービスを利用する音楽ファンが世界的に増加傾向にあるという。
2013年世界一の人気アーティストはワン・ダイレクション
「Spotify」や「Deezer」などの会員制音楽ストリーミングサービスの収益は2013年に51%増加し、業界の収益は史上初めて10億ドル(約1000億円)を突破した。
オンラインミュージックのライブラリーにアクセスするために定額料金を支払った人は2010年にはわずか800万人だったが、現在では全世界で2800万人以上に達している。「その多くは、著作権を侵害するものから正規ライセンスを受けた音楽環境に移行している人のようだ」と、報告書は分析する。
スウェーデンでは、Spotify有料会員の10人に9人で違法ダウンロードの頻度が減っていたという。「著作権侵害サービスの最大の成功は、アクセスの容易さだった。人々はレコード店に行く必要がなくなり、シングルをダウンロードして手に入れることができた」と、スウェーデンのアーティストマネジメント会社At Night Managementのカール・バーナーソン(Carl Vernersson)氏は語る。
「現在、ストリーミングサービスはこういった著作権侵害サービスと同等以上のアクセスの容易さを達成した。だが違うところは、これらの(有料会員制)サービスが収益を上げており、アーティストに対価を支払うことができる点だ」
■世界全体で好調なデジタル音楽市場
インターネットを通じた音楽の入手では依然としてダウンロード方式が最も人気だが、会員制ストリーミングと広告表示型のストリーミングサービスを合わせた収益はデジタル音楽全体の約27%に相当している。2011年には14%だった。
いわゆる物理メディア(CDなど)の売り上げは音楽全体の51.4%に相当する。だが物理メディアの売り上げは減少傾向にある。2012年は全体の56%を占めていた。
スマートフォン(多機能携帯電話)の普及や無線インターネット通信の高速化により移動中にも音楽を聴くことができるようになったのが、デジタルへの移行の手助けとなった。
また報告書によると、新興市場でデジタルの収益が急増している。昨年、ペルーでは149%、南アフリカでは107%増加した。これらの国では物理メディアの購入が比較的困難だった。
世界全体では音楽業界は好調で、米国の市場は安定化し、欧州市場では12年ぶりに市場規模が拡大した。
■日本ではまだ確立されず
例外は日本だ。日本では物理メディアの売り上げが遅ればせながら今になって減少し始めており、一方で音楽ストリーミングサービスはまだ完全に確立されていない。日本での音楽業界の収益は16.7%の減少を示した。
2013年の世界的収益は150億ドル(約1兆5000億円)と3.9%減少した。だが、報告書は、日本をこの統計から除外した場合、音楽市場は0.1%減少とほぼ横ばいだったと指摘した。
「日本の困難な状況を考慮に入れても、世界の音楽業界はその発展において前向きな局面にある」と、IFPIのフランシス・ムーア(Frances Moore)CEO(最高経営責任者)は語った。
SpotifyとDeezerの有料会員は合わせて1100万人。また昨年最も成長が速かった有料会員サービスは「Google Play Music All Access」だった。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:3月20日(木)16時47分
読み込み中…