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MH370便の位置解析はどう行われたか

消息不明のマレーシア航空MH370便の最終飛行地点は、インマルサット衛星が受信したデータ信号「ピン(PING)」のドップラー効果を解析することで絞り込まれた。

 
 
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TEXT BY SEAN GALLAGHER
TRANSLATION BY MINORI YAGURA, HIROKO GOHARA/GALILEO

ARS TECHNICA (US)

「Inmarsat-3 F1」の位置と、北方向または南方向の弧を示した地図。画像はWikimedia Commons

衛星通信事業者が受信したデータのおかげで、消息不明になったマレーシア航空MH370便の最終飛行地点が明らかになった。誤差100マイル(約161km)の精度で、インド洋南端に墜落したとみられる。

Inmarsat社(1979年に設立された国際機関である国際海事衛星機構INMARSAT:International Maritime Satellite Organizationの事業部分を引き継いだ英国企業)の技術者は、科学モデルを構築することにより、MH370便の捜索範囲を、オーストラリア西部パース沖のインド洋に絞り込むことができた。

彼らが用いた科学モデルは、同じようなルートを飛行するマレーシア航空MH377便ほかの航空機からのデータ信号「ピン(ping)」のドップラー効果を基にしたものだ。

MH370便の位置・速度・高度を知らせるピン信号を受信したInmarsat社の衛星「Inmarsat-3 F1」は、1996年に打ち上げられたものだ。測位システム機能は搭載されていないが、静止軌道上の東経64.5度に位置している(Inmarsat-3は、1996-1998年に打ち上げられた衛星システムで、赤道上空35,786kmの軌道上に位置し、太平洋、インド洋、大西洋-西、大西洋-東の4基で世界をカバーしている)。

この衛星はほぼ定位置にあるので、技術者は、ピン信号のドップラー効果とおおよその飛行高度の解析により、MH370便の位置を絞り込むことができた。初期解析では、MH370便の位置は、北方向または南方向に描いた弧の内側にあると考えられていた。

北方向に進んでいれば陸の上を飛行しており、南方向に進んでいれば海上を飛行していたはずだった。3月12日(米国時間)にこうした情報をマレーシア政府当局者に提供した後、Inmarsat社の技術者は、北ルートと南ルートでのドップラー効果による信号周波数の変移モデルを構築して、データ解析を続けた。

 
 
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