【モスクワ=田中孝幸】ウクライナ新政権がヤヌコビッチ政権崩壊の一翼を担った過激な民族主義勢力の排除を加速させている。内務省は25日、武闘派極右集団「右翼セクター」幹部で犯罪グループの一員として手配中のムズイチコ氏を殺害したと発表した。
内務省によると同氏は拘束を試みた警官に発砲したため射殺された。反政権デモの武装闘争を主導した右翼セクターは極端な反ロシア主義で知られ、欧米各国は「ロシア系市民を迫害しかねない」と懸念を強めていた。
民族主義がさらに強まれば欧米からの支援が停滞するリスクもあるだけに、トゥルチノフ大統領代行ら新政権指導部は過激派の抑えこみに乗り出したとみられる。融資条件を巡る国際通貨基金(IMF)との協議は大詰めを迎えており、シラパク財務相は25日、近く最大200億ドル(約2兆円)の金融支援で合意できるとの見通しを示した。
右翼セクターを率いるヤロシ氏は「我々への反革命的な圧力が強まっている」と新政権を非難。アバコフ内相の即時辞任を要求した。今後、政権幹部や治安機関への報復に出る可能性もある。
ウクライナ最高会議(国会)は25日、辞意を表明していたテニュフ国防相代行の解任を決定。クリミア半島からの軍撤退を受けた事実上の解任とみられる。民族主義政党「自由」に所属する軍人出身の同氏は反ロ姿勢で知られ、辞任にあたり「指導部との見解の相違」があったと明らかにした。
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