iPhoneのソフトウエアが誕生した部屋

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  • DAISUKE WAKABAYASHI

[image] Apple

アップルが2006年にiPhone向けソフトウエアの試作品のテスト用に間に合わせで作ったシステム。「ワラビー」というコード名のプラスチックのタッチ式端末と旧型マックをつなげ、実際より遅いものの、携帯電話のスピードをシミュレートした

 アップルの「iPhone(アイフォーン)」のソフトウエア設計に関するほとんどの決定が行われた秘密の会議室は「神聖な場所」だった。iPhoneのソフトウエアインターフェース(操作画面)の設計者で、2004年に同製品の開発要員として最初に採用されたスタッフでもあるグレッグ・クリスティー氏はこう語った。

 と言っても、そこは窓がなく、天井から蛍光灯がぶら下がった何の変哲もない部屋だった。クリスティー氏は、壁には隣のトイレの水漏れによる損傷の跡が残っていたのを覚えているという。また、著名グラフィックデザイナー、ポール・ランド氏によるアップルの「Think Different」のスローガンを掲げたポスターや首のない大きなニワトリが走り回っているポスターなど、いくつかの絵が掛けられていた。

 テクノロジー業界で最も秘密主義的な企業の1つであるアップルは、iPhoneの開発に関する詳細を初めて公開した。韓国のサムスン電子との特許侵害訴訟を来週に控えたこのタイミングでの公開は偶然ではない。アップルには、クリスティー氏をはじめとする社員が革新的なiPhoneを商品化するためにいかに懸命に働き、努力したかを示そうとする意図がある。

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