星野監督が松井をオトナ扱い

　かわいい子には旅をさせよ。昨季日本一の楽天・星野仙一監督（６７）が２５日、スーパールーキーの松井裕樹投手（１８）＝桐光学園高＝に対し、球数制限を設定しない考えを明かした。開幕ローテ入りを決めた高卒１年目左腕は、２６日の日本製紙石巻との練習試合で４月２日のオリックス戦（コボスタ宮城）に向けて最終調整登板する。

　闘将流のスパルタ育成だ。オープン戦で４試合１６イニング２失点。開幕ローテの座を自力で奪い取った松井裕を『大人』として扱う。本拠地コボスタ宮城での今年初練習。ベンチにドッカと座った星野監督はスーパールーキーの起用プランを初めて明かした。

　先発６人で中６日を固定。そして、球数は無制限。「もちろん考えるけども、固定観念ではやらない。状況や雰囲気、展開による。球数を決めると、肩がそれに慣れてしまうしな」。甘やかすことなく、将来のエース候補として大きく育てる方針だ。

　阪神の藤浪は昨季、１００球をメドにすることで、新人ながら１年間ローテを守った。当然、故障させないことは大前提にある。ただ、名将をして「あの子は（完投も）できるよ」と言わしめる潜在能力が、松井裕にはある。

　注目のデビューは開幕２カード目の第２戦。２６日の練習試合で本拠地リハをするルーキーは、ダッシュやキャッチボールなどで調整をして、「シーズンを意識して、打たれないようにしたい」と力を込めた。

　チームはこの日、仙台市内の大崎八幡宮で必勝祈願後、仙台城の跡地に向かった。街を見下ろす高台に立った星野監督は「あの人は天下を取れなかったんだよな」と夢破れた政宗公の無念に思いをはせた。巨人を撃破した昨秋の日本シリーズから５カ月。イヌワシ軍団が再び天下統一の道を歩み出す。　（井上学）