2014年3月25日12時52分
麻生太郎副総理兼財務相は25日の閣議後会見で、ロシアによるウクライナ南部・クリミア半島併合をめぐり、「ロシアはキエフ公国から始まった。(ウクライナの首都の)キエフがクリミア半島と別れて、キエフだけ欧州に行ってしまうみたいな話は、日本で言うと宮崎県が独立して(古事記などで神々が生まれ、住んでいたとされる)高天原(たかまがはら)がなくなるようなもの。そんなに簡単な話ではない」と述べた。
オランダ・ハーグでのG7会合で、安倍晋三首相を含む各国首脳は24日、ロシアの対応を「明白な国際法違反」と強く非難し、G8への参加停止を決めた。政権中枢の麻生氏による発言は、それに逆行し、国際的な批判や誤解を招きかねないものだ。ロシアのクリミア併合を正当化するばかりか、ウクライナの欧州連合(EU)加盟を望まないロシアの立場を容認したものとも受け止められかねず、日本政府の見解ともずれが生じかねない。
一方で麻生氏は、ナチス・ドイツが1938年、ドイツ人も多く住むとの理由でチェコスロバキア(当時)のズデーテン地方を併合したことを例に挙げ、「わが国民の保護という話は、ドイツがかつてズデーテン地方の割譲を求めたことに似た話だと欧州の人は思うだろう」と欧州側への理解も示し、ウクライナ問題の解決には時間がかかるとの見方を示した。ドイツは当時、チェコを除いた英仏独伊で4カ国会談を開き、ズデーテン地方の割譲を認めさせた経緯がある。
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