[STAP細胞] 専門家による若山教授へのロングインタビュー(2/27)全訳
以前も紹介したアメリカの幹細胞生物学者、Dr.Knoepflerのブログで、STAP細胞に関して若山教授にロングインタビューを行っていた。
この件に関して継続して批評を行ってきた専門家によるインタビューとして、実に質問しづらいことも聞いている。貴重な記事だったので日本語に全訳した。
元記事:Interview with Dr. Teru Wakayama on STAP stem cells
以下訳________________________________
STAP幹細胞に関する若山博士へのインタビュー
私は若山照彦博士(知人からはテルと呼ばれている)にSTAP幹細胞の状況に関するQ&Aに答えてくれるかどうか尋ねた。
テルはキメリズムに関して記述し、Nature letterとして発表されたSTAP幹細胞の論文の責任著者だが、Nature articleとして発表され、STAP幹細胞の作製に関して記述したもう一方の論文では責任著者ではない。
テルは親切にも招待に同意してくれた。彼は直接的で時にタフと思われるような質問にも率直に答えてくれた。彼はまた、STAPの今後について理にかなった計画も示してくれた。どうもありがとう、テル。
彼の回答は、彼の科学者もしくは一個人としての偉大な名声を反映しているように思える。テルは幹細胞分野で真に善良な研究者だ。テルはまさに私が呼ぶところの"mensch"(すばらしい特性を持つ人の意)だ。私は、STAP幹細胞の再現ができるかどうか1年間待つというテルの提案を全面的に支持する。
以下にインタビューを掲載する
1.バカンティ研究室と若山研究室の間におけるSTAP幹細胞の共同研究はどのようにして始まったのですか?なぜ彼らと協力することを決心したのですか?この研究の始まりについてもっと詳しく教えて下さい。
3.現時点でSTAP細胞に対するあなたの自信はどの程度のものですか?より心配になっていますか?
4.私は大抵の人と同様にSTAPに関するマウスでの研究は強固で説得力があると確信しています。あなたは個人的に科学者として世界から一流の評価を得ていますね。一方で人々は特にSTAP細胞それ自体に関して関心があるようです。現在私が最も多く受ける質問は以下の様なものです__STAP細胞がES細胞やiPS細胞の混入の結果である可能性はありますか?__このようなことは起こりえますか?起こりえるとしたらどのような状況でしょうか?
5.あなたはSTAP幹細胞をあなたの研究室では作れないと仰っていました。実験方法の観点から、なぜそのようなことが起こると思いますか?現在と過去との違いは何でしょう?また、あなたは理研にいた時にSTAP細胞の作製に成功したとも言いました。より細かく教えていただけますか?あなたはSTAP誘導の作業を100%自分の手で行ったのですか?繰り返しになりますが、iPS細胞やES細胞が何らかの理由で混入した可能性はありますか?
6.世界中の多くの人々がSTAP誘導法を試し、失敗によって歯がゆい思いをしています。実験法を記した論文を準備していることは知っていますが、これがどれだけ重要な事柄かを鑑みて、詳細で段階的なプロトコールを今すぐ研究者に向けて公開することを検討してくれませんか?私のブログに投稿してもいいし、科学雑誌への実験法論文の投稿には影響無いでしょう。そうすることにより、人々の助けになると思います。1ヶ月や2ヶ月実験法論文が出るのを待っているのでは遅いんです。
最後に、私が聞かなかったことで最後に付け加えておきたいことや質問はありますか?もしあるならどうぞ。
注)彼の要望に従い、テルの回答中の誤植やスペルミスを少し修正した。何故なら英語は彼の第一言語ではないから。しかし、彼の回答の意図が変わるような変更は一切加えていない。
訳終わり________________________________
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この件に関して継続して批評を行ってきた専門家によるインタビューとして、実に質問しづらいことも聞いている。貴重な記事だったので日本語に全訳した。
元記事:Interview with Dr. Teru Wakayama on STAP stem cells
以下訳________________________________
STAP幹細胞に関する若山博士へのインタビュー
私は若山照彦博士(知人からはテルと呼ばれている)にSTAP幹細胞の状況に関するQ&Aに答えてくれるかどうか尋ねた。
テルはキメリズムに関して記述し、Nature letterとして発表されたSTAP幹細胞の論文の責任著者だが、Nature articleとして発表され、STAP幹細胞の作製に関して記述したもう一方の論文では責任著者ではない。
テルは親切にも招待に同意してくれた。彼は直接的で時にタフと思われるような質問にも率直に答えてくれた。彼はまた、STAPの今後について理にかなった計画も示してくれた。どうもありがとう、テル。
彼の回答は、彼の科学者もしくは一個人としての偉大な名声を反映しているように思える。テルは幹細胞分野で真に善良な研究者だ。テルはまさに私が呼ぶところの"mensch"(すばらしい特性を持つ人の意)だ。私は、STAP幹細胞の再現ができるかどうか1年間待つというテルの提案を全面的に支持する。
以下にインタビューを掲載する
1.バカンティ研究室と若山研究室の間におけるSTAP幹細胞の共同研究はどのようにして始まったのですか?なぜ彼らと協力することを決心したのですか?この研究の始まりについてもっと詳しく教えて下さい。
テル:小島博士(バカンティ研究室)が私にe-mailで連絡してきて、キメラの作製を手伝ってくれとお願いしてきました。その時点では、そのプロジェクトは到底不可能に見えました。だから私は要請を受諾しました。私はそのような不可能な実験が好きですから。
2.バカンティ博士や小保方博士と最近話しましたか?会話はどんな感じでしたか?彼らと連絡が取れていない場合は、なぜ取れないのですか? テル:バカンティ博士とは話してないです。
小保方博士とは話しました。しかし、日本で主に問題となっているのは再現性ではなく、画像やバンドのミスです。現在理研と外部の調査団が問題を調べています。でも、彼女の研究室ではSTAP細胞を作製できると彼女は言っていました。
小保方博士とは話しました。しかし、日本で主に問題となっているのは再現性ではなく、画像やバンドのミスです。現在理研と外部の調査団が問題を調べています。でも、彼女の研究室ではSTAP細胞を作製できると彼女は言っていました。
3.現時点でSTAP細胞に対するあなたの自信はどの程度のものですか?より心配になっていますか?
テル:私が理研を去る前、私は脾臓からSTAP細胞を作ることに成功しました。でも一度だけです。その時は小保方博士がよく指導してくれました。
今は数人の知人(日本ではない)が部分的な成功(Octの発現のみ)をe-mailで知らせてくれています。だから、私は一年以内に誰かがSTAP細胞の作製を発表するだろうと信じています。
今は数人の知人(日本ではない)が部分的な成功(Octの発現のみ)をe-mailで知らせてくれています。だから、私は一年以内に誰かがSTAP細胞の作製を発表するだろうと信じています。
4.私は大抵の人と同様にSTAPに関するマウスでの研究は強固で説得力があると確信しています。あなたは個人的に科学者として世界から一流の評価を得ていますね。一方で人々は特にSTAP細胞それ自体に関して関心があるようです。現在私が最も多く受ける質問は以下の様なものです__STAP細胞がES細胞やiPS細胞の混入の結果である可能性はありますか?__このようなことは起こりえますか?起こりえるとしたらどのような状況でしょうか?
テル:コメントありがとうございます。
私はSTAPからSTAP-SCを複数回樹立しました。混入がその度に起こるなんてことは考えづらいです。さらに、私はSTAP-SCを129B6GFPマウスから樹立しました。その当時、我々はその系統のES細胞を持っていませんでした。
私がSTAP-SCの樹立に成功した時、大元のSTAP細胞はOct4-GFPをよく発現していました。この状況ではSTAP-SCの樹立は胚盤胞からES細胞を樹立するより簡単なんです。
さらに、包括的なmRNA発現データもSTAP-SCがES細胞でないことを示唆しています。
私はSTAPからSTAP-SCを複数回樹立しました。混入がその度に起こるなんてことは考えづらいです。さらに、私はSTAP-SCを129B6GFPマウスから樹立しました。その当時、我々はその系統のES細胞を持っていませんでした。
私がSTAP-SCの樹立に成功した時、大元のSTAP細胞はOct4-GFPをよく発現していました。この状況ではSTAP-SCの樹立は胚盤胞からES細胞を樹立するより簡単なんです。
さらに、包括的なmRNA発現データもSTAP-SCがES細胞でないことを示唆しています。
5.あなたはSTAP幹細胞をあなたの研究室では作れないと仰っていました。実験方法の観点から、なぜそのようなことが起こると思いますか?現在と過去との違いは何でしょう?また、あなたは理研にいた時にSTAP細胞の作製に成功したとも言いました。より細かく教えていただけますか?あなたはSTAP誘導の作業を100%自分の手で行ったのですか?繰り返しになりますが、iPS細胞やES細胞が何らかの理由で混入した可能性はありますか?
テル:私はたった一度だけ小保方博士から指導を受け、そして理研を去りました。
我々が過去に研究室を移動した時、自分自身の技術でさえ再現することがどれだけ困難だったか分かりますか?ハワイからロックフェラーに移った時、私はマウスのクローン作製を再現するのに半年を費やしました。これは私の技術です。自分の技術でさえ多くの時間を要したんです。しかし、STAPの作製法は私の技術ではなく、別の研究室で自分ではない人が見つけた技術です。だから、これを再現するのはさらに難しいことだというのは当然です。
私はそれぞれのステップを小保方博士に監督してもらった上で、100%自分の手で再現しました。ほぼ同様に、私の博士課程の学生もSTAP-SCの樹立に成功しています。
これらの実験の初期段階では、我々はES細胞やiPS細胞を同時に培養していません。後になって、対照群として時にES細胞を同時に培養していました。
我々が過去に研究室を移動した時、自分自身の技術でさえ再現することがどれだけ困難だったか分かりますか?ハワイからロックフェラーに移った時、私はマウスのクローン作製を再現するのに半年を費やしました。これは私の技術です。自分の技術でさえ多くの時間を要したんです。しかし、STAPの作製法は私の技術ではなく、別の研究室で自分ではない人が見つけた技術です。だから、これを再現するのはさらに難しいことだというのは当然です。
私はそれぞれのステップを小保方博士に監督してもらった上で、100%自分の手で再現しました。ほぼ同様に、私の博士課程の学生もSTAP-SCの樹立に成功しています。
これらの実験の初期段階では、我々はES細胞やiPS細胞を同時に培養していません。後になって、対照群として時にES細胞を同時に培養していました。
6.世界中の多くの人々がSTAP誘導法を試し、失敗によって歯がゆい思いをしています。実験法を記した論文を準備していることは知っていますが、これがどれだけ重要な事柄かを鑑みて、詳細で段階的なプロトコールを今すぐ研究者に向けて公開することを検討してくれませんか?私のブログに投稿してもいいし、科学雑誌への実験法論文の投稿には影響無いでしょう。そうすることにより、人々の助けになると思います。1ヶ月や2ヶ月実験法論文が出るのを待っているのでは遅いんです。
テル:そうですね、現在理研が詳細なプロトコールを発表しようとしているところです。キメラとその樹立に関しては私が担当しました。しかし、キメラとその樹立は一般的なプロトコールで、STAPに特別なものではないんです。なぜなら、ES細胞の場合と同じか、それよりも簡単ですから。残念ながら、今すべての責任は理研にあり、わたしは理研を去った者です。私も知りたいけれど、今は分からないんです。
最後に、私が聞かなかったことで最後に付け加えておきたいことや質問はありますか?もしあるならどうぞ。
テル:私は逃げない。何故なら私の実験結果においては、すべてのことは真実だから。しかし、新しい技術を再現するのは時間が掛かるんです。例えば、最初のクローン動物、ドリーは論文が出るまで一年半もの間再現されませんでした。ヒトのクローンES細胞の論文は未だに再現されていません。だから、少なくとも1年は待って下さい。私はその期間の間に、誰かもしくは私自身が再現に成功すると信じています。
注)彼の要望に従い、テルの回答中の誤植やスペルミスを少し修正した。何故なら英語は彼の第一言語ではないから。しかし、彼の回答の意図が変わるような変更は一切加えていない。
訳終わり________________________________
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