政府は18日の閣議で、インターネット上の仮想通貨ビットコインについて2回目の見解をまとめた。「実態を把握したうえで、必要があれば対応を検討していく」と法規制を検討する考えを初めて示した。東京・渋谷に本拠がある取引所「マウントゴックス」が2月末に経営破綻したが、所管する法令や省庁がないためだ。ただ世界的な取引ルールづくりが遅れているビットコインの規制を受け持つことに、関係省庁は尻込みしている。
株式や商品の取引所は金融庁など所管省庁が存在し、開設には許可が必要。仲介業者は顧客の資産を保全しなければならない。だが、マウントゴックスなどビットコインの取引所には規制する法律がなく、こうした義務もない。顧客は破綻して初めて自分の資産消失を知った。
ビットコインの規制を検討するといっても、ビットコインそのものの定義が明確でないため誰が規制するかもはっきりしない。「モノ(商品)か電磁的記録に該当するか答えることは困難」。政府の見解は慎重な書きぶりだ。
今月7日に示した政府見解では「通貨には該当しない」と明示した。金融庁幹部は「金のようなもの」と話し、貴金属など商品と同様に扱う方向をにじませるが「使用実態が明らかでない」として今回の公式見解に盛り込まず、所管官庁は宙に浮いたままだ。
「通貨でないからといって、我々の所管とするのは拙速だ」(経済産業省幹部)、「うちが(ビットコイン取扱業者の)所管官庁になることはない」(警察庁幹部)など関係省庁の押しつけ合いも見え隠れする。
マウントゴックスの利用者は99%が海外。米国では利用者が損害賠償を求めた裁判で、マウントゴックスの取引銀行だったみずほ銀行が被告に加えられた。みずほ銀は「取引は法令・行内ルールにのっとり適切に執り行っていた」と困惑気味だ。取引ルールづくりが遅れれば、仮想通貨に絡む民間ビジネスにもしわ寄せが及びかねない。
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