アンモラル・カスタマイズZ(カレー沢薫)を読みました。女性誌を読みながらついついツッコミを入れてしまいたくなる系の自分には、響くセリフだらけでたまらない面白さがありました。
いやぁ、下品なマンガだった。この作品で「ブス」と「セックス」という単語は何回出てきたか分からないくらい。だが、それがいい。
風俗雑誌「風俗大王」で有名なグリズリー商会が、社長の思いつきで女性向けファッション誌「カスタマイズ」を創刊することに。グリズリー商会は「ホモと童貞しかいない」と噂される会社で、構成人員はゲイの社長・スィーツ女子を敵視するゲス男・個性派ブスを彼女に持つ男といった感じなのだが…。
このムササビは作者が担当に「かわいいキャラを出せ」と言われて出した以上の意味はなさそうな存在です。
この漫画は練りこんだストーリーに入り込むというものではなく、あるあるネタやそれに対する容赦ないツッコミを楽しむものです。リア充や美への意識高い女子だけではなく、様々なバリエーションのブスへも徹底的に毒を吐く。ある意味平等な漫画といえるでしょう。作者のとことんネガティブな気持ちが、突き抜けた笑いを生み出しています。
女性誌というのは「こういうものがありますよ~」と、女性の夢やあこがれをくすぐるような存在です。素敵な洋服にかわいい雑貨、きれいになれる(かもしれない)化粧品と、これ片っ端から買ったらおいくら万円ですか、女の欲望って果てしないなぁ…と遠い目をしてしまいそうにもなりますが。なので、読者は「これはあくまで参考」と割り切った上で楽しむものです…よね?
「カスタマイズ」では、そんな読者の気持ちに寄り添います。よくある「素敵な洋服で30日着まわし特集」を「安くて無難なアイテムを猫背の女が着こなす30日!」なんていう特集へと変貌させてしまいます。
いくらなんでも男性だけで女性ファッション誌は作れない、と途中で編集部に合流した小雪ちゃん。手入れというものを知らない陰毛状ヘアと「どこで買ったんだ?」と思うようなファッションセンスが特徴のとにかく残念系女子です。身だしなみは自然のまま、当然ムダ毛も生えるにまかせたままであります。
あまりにも残念すぎて、カスタマイズ誌上で小雪ちゃんを変身させる連載が始まります。
アンモラルカスタマイズZを読んで思い出したのが、2chの化粧板にある「三十路が読むファッション雑誌を現実的にするスレ」のこと。
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/female/1277867907/
「いい加減夢から覚めて現実と向き合え!」感があってなかなか楽しいスレでした。
この卑屈な気持ち、分かりすぎる…!
正直なところ、ガールズトークって何をやってるんでしょうか。井戸端会議みたいなものか?
男と女で「ぽっちゃり」の定義って変わりますよね。
確かにそうだが、極端すぎる…!
作者のデビュー作は、青年誌モーニング、モーニング・ツーで連載されていた「クレムリン」。紙媒体では3回最終回を迎え2回復活し、現在はWebと東京都写真美術館広報誌で連載中というまさに不死鳥のような存在です。
クレムリンの主な登場人物は、無職で成功者を憎む青年「キャッツ山」と3匹のロシアンブルー「関羽(全員がその名前を譲らなかったので)」。