【シリコンバレー=小川義也】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは25日、ゴーグル型の仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)映像端末を開発する米ベンチャー、オキュラスVR(カリフォルニア州)を買収すると発表した。現金と株式を組み合わせた買収額は約20億ドル(約2000億円)。主にゲーム向けのオキュラスの端末の用途を他の娯楽や教育、医療などに拡大。「モバイルの次」のサービス基盤に育てる。
オキュラスの株主に対し、現金4億ドルとフェイスブック株2310万株を割り当てる。事業目標の達成度に応じて、さらに3億ドル(株式を含む)を支払う成功報酬も用意した。6月末までの買収手続き完了を見込む。
2012年設立のオキュラスは3次元(3D)のVR映像を楽しめるヘッドマウントディスプレー「オキュラス・リフト」を今年後半にも発売する計画。現在はゲームソフトの開発者向けに限定販売している段階だが、1台300ドルという低価格が受け、これまでに7万5000台以上を受注するなど注目を集めている。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は投資家向けの電話会見で、「VRはモバイルの次のソーシャル・プラットフォームになりうる」と主張。自宅にいながら仲間とスタジアムでスポーツ観戦したり、学校の授業に参加したり、ショッピングを楽しんだりするなど様々な使い方が可能だと述べた。
VR技術を巡っては、ソニーが今月18日に家庭用ゲーム機「プレイステーション4(PS4)」に接続して使うゴーグル型端末の試作機を公開。米マイクロソフトなども開発中とされる。ザッカーバーグ氏は「オキュラスはどこよりも先行している」と強調。フェイスブック傘下で開発をさらに加速させる考えを示した。
業績が好調なフェイスブックは過去1年間で2.5倍になった株高を利用し、成長投資を加速している。今年2月にはチャット(対話)アプリ大手の米ワッツアップを190億ドルで買収すると発表した。ただ、25日の電話会見でザッカーバーグ氏は、大型案件が相次ぐいまの買収ペースが「続くことはない」と述べた。
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