大変なことになりました。Facebook は、バーチャルリアリティ・ヘッドセット Oculus Rift の Oculus 社を20億ドル(約2045億円)で買収することを発表しました。



Oculus は米国の仮想現実技術スタートアップ企業。Oculus は2012年にゲーム特化の広視野角VRヘッドセット Oculus Rift を公開して注目を集めましたが、当時クラウドファンディングサイト Kickstarter で広く一般からの製品化資金を募っていた際の調達目標はわずか25万ドル。それから Facebook と20億ドルでの買収で合意に達するまで2年も経過していません。

Facebook による Oculus 買収は、諸手続きと認可を待って2014年第2四半期にも完了する見込み。


頭にくくりつけるヘッドマウントディスプレイを使ったいわゆる「仮想現実」は研究用などでは数十年前から存在しており、「バーチャルリアリティ」も懐かしささえ感じさせる用語です。しかしさまざまな要素技術が成熟してきたことや、Oculus のようなスタートアップの登場で、ここ数年はにわかにコンシューマ向けの次世代プラットフォームとして注目されてきました。

ゲーム配信プラットフォーム Steam の Valve や、最大手パブリッシャー EAも新たなゲーミングプラットフォームとしてVRへの取り組みを公表しているほか、つい先日の GDC (Game Developer Conference)では、ついにソニーまでがプレイステーション4用の独自VRヘッドセット Project Morpheus (モーフィアス)を発表しました。Oculus はここ数年加速するVRムーブメントのパイオニアにして主導的な存在と目されています。


Oculus の没入型VRヘッドセットRiftは広い視野角(視界)や低遅延、6軸ヘッドトラッキング(頭を動かせばその方向が見える)など、3Dゲームでの利用に耐えるゲーム特化HMDを謳って開発されてきました。しかし高性能なゲーミングPCが他の仕事を楽にこなせるように、3D仮想世界への没入感を得られるほどの性能を持つゲーム用VRヘッドセットならば、ゲームだけでないさまざまな分野への応用が期待できます。

Facebook 創業CEOザッカーバーグは「今日の(もっとも重要な)プラットフォームはモバイルだが、われわれは次世代のプラットフォームへの準備も進めている」として、Oculus は人々の仕事、遊び、コミュニケーションの方法を変えるこれまでにないソーシャルプラットフォームを生み出すチャンスがあると語っています。

Facebook いわく、Oculus は買収後もカリフォルニア州アーバインの本社から移転することはなく、同じくFacebookに買収された Instagramのように独立した運営を続けるとされています。Oculusが開発中のPC用VRヘッドセット Oculus Rift の開発も従来どおり継続します。