怪 空
考えごと23



偽史


 「幻想の超古代史」原田実著。

 内容は日本超古代史に燦然と輝く偽書、竹内文献についてのまじめな論考。古代氏族や鍛冶の民、古武術、竹細工師などの漂白の民と竹内巨麿の関係を追求している。たんに巨麿が創作したインチキ本という立場からは1歩も2歩も進んでいる点が、この著者のすごいところ。

 もちろん、竹内文献は巨麿の偽作であるが、その偽作の根拠には修験道や山の民、サンカなどの漂白民の伝承世界があるのではという著者の指摘は鋭い。

 ただ竹内文献は近代日本の(特に平田篤胤の国学・国家神道に代表される)きちがいじみた日本中心主義とも一脈通じるものがあるため、そこの部分はきちんと批判する必要がある。著者もそこの部分への配慮は持っているので、その点でもこの本は信頼性が高い。

 というわけで、この本は超古代史分野の基本文献と言える。超古代史好きな方は読むと面白いこと間違いなしです。

 僕はここ数年、日本的狂気としての偽史運動や、ナチスオカルティズム関係の本をよく読みます。この分野は、日本国家論としても、人種主義のキチガイ性を知る上でも、かなり重要であろうと思ってます。
 偽史運動とは何か?太古、日本は世界の中心にあり、その科学技術は現代のそれを凌駕するものだった。天皇は天之浮船という飛行機らしきものに乗って世界巡幸し、地球全土を支配していた。という戦前の国体主義よりさらに過激な妄説を、神代文字で書かれた、竹内文献等に代表される、いわゆる偽書という捏造した歴史書により証明し、もって日本は偉い、八紘一宇も当然だ、世界に冠たる国日本、とか言いふらすキチガイ運動のことです。戦前の軍人にも竹内文献の信奉者はいたのです。
 偽史というのも、日本が白人の侵略に過剰に反応してしまうところから派生した物語(神話・妄想)であったはず。黄禍論がヨーロッパを席巻した”妄想”であったと同じく、近代日本から見れば植民地主義を振りかざす怪物である欧米列強に対して、「いや、おれたちは万世一系の天皇を戴く、超古代に世界を支配していた栄えある日本民族だ」という同じ”妄想”で対抗した。
 20世紀の偽史の妄想の源とは、江戸末期の国学、その中でもファナティックな平田神道(平田神道の一派は明治政府の太政官制度に大きな影響を与えた)でしょう。平田神道−明治期の新宗教−竹内文献等の偽史−戦後の各種陰謀論、ポップオカルトという流れがあり、それを「日本的狂気の系譜」という。大本教などもその流れにあるのです。
 その流れの根っこには、黒船ショックという衝撃的な欧米列強との出会いがあるのですね。
 またこの偽史運動は戦後も生き残り、「ムー」などの日本のポップオカルトとして世間に広く流布しています。オウム真理教に与えたムーの大きな影響を考えると、偽史運動の狂気とその影響力は看過できないものがあるでしょう。
 他にも超古代の金属ヒヒイロカネ(オリハルコンのマネ?)とか、キリストは日本で死んだとか、モーゼの十戒を神代文字で刻んだ石が日本にあるとか、裏十戒石まであるとか、もう、妄想の大安売りで面白すぎます。

 といったところで、おしまい。偽書についての本では「偽史冒険世界」長山靖生、ちくま文庫がいいと思う。あ、それよりいいのが「歴史を変えた偽書」ジャパンミックス、ですね。こちらは朝松健による日本オカルト業界の裏話があって非常にためになる。他には絶版本の「地球ロマン第3号我輩は天皇なり」という偽史特集も面白いよ。



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