三木谷さん、楽天は世界で勝てますか?

楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その1)

 2010年の英語公用語化スタートから4年。楽天のグローバル戦略が一段と加速している。ここ数年、電子書籍のkobo(コボ)、ビデオストリーミングサービスのViki(ヴィキ)、動画コンテンツ配信サイトのShowTimeなど、次々と国内外で企業を買収。今年2月には、無料通話・メッセージサービス「Viber」を手掛けるキプロスのバイバー・メディアを9億ドルで買収した。
 楽天は世界でどう戦おうとしているのか? 英語公用語化で会社はどう変わったのか。そして、どうすれば日本企業はより多くのイノベーションを起こせるのか。バイバー買収の背景から今後の世界戦略、そして、スタートアップへの思いから若者へのメッセージまで、ロングインタビューで三木谷浩史社長に話を聞いた〈全4回〉。

今の電話料金は高すぎる

――楽天のバイバー買収に続き、フェイスブックがワッツアップを買収。さらに一部では、ソフトバンクがLINE(ライン)の買収に興味を示しているとの報道もありました。にわかにメッセージングアプリに注目が集まっていますが、その背景をどう分析しますか?

私の周りの人たちのスマホの使い方を見ていても、インターネットなどのサービスにおいて、「コミュニケーション」というレイヤーが、極めて重要になりつつあります。たとえば、昨年3月に立ち上げた楽天のLINE公式アカウントは、すでに友だち数が1500万人を超えています。

今までのインターネットは、インタラクティブではありましたが、自分から能動的に動いていくという部分は弱かった。ただ今後は、消費者が店舗に対して、「どのワインがいいですか」「どのゴルフクラブを買ったらいいですか」といった質問を、テキストや電話でできるようになっていく。

これまでのコミュニケーションは、「メールとウェブ」という組み合わせでしたが、スマートデバイスが出てきたことで、メッセージングコミュニケーション、ボイスというものが極めて有機的に結び付く時代に突入しようとしている。

――グローバルで一流のネット企業になるには、メッセージング分野のサービスが不可欠であると。

そうですね。ただ、買収の狙いという点では、(フェイスブックCEOの)マーク・ザッカ―バーグが考えたことと、僕が考えていることは、たぶん違うと思うんですね。

われわれの狙いを言うと、楽天などのインターネットショッピングは、基本的にウェブとメールの組み合わせで消費者とコミュニケーションしてきましたが、もう少し消費者との結び付きが強いものが必要になってくるだろうというのがひとつ。

もうひとつは、通信業界という非常に大きなビジネス領域において、メッセージングアプリがたいへん大きなアービトラージ(サヤ取り)の機会をもたらすということです。

――メッセージングアプリによって、通信業界が激変する。

基本的に、IPになるというのは、そういうことですよね。それはレガシーのいわゆる交換機を中心とした電話というコンセプトがガラリと変わり、コモディティ化していくということです。それは世界の流れだと思っています。

――今の電話料金は高すぎますか。

今の1分40円の電話料金は高いですよね。私は、黒電話時代の「3分10円」という意識がありますが、携帯の場合は3分120円、1時間話したら2400円ですから。これは世界標準的にみると極めて高いと思っています。

 
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