東電:被ばく線量低く評価 事故直後作業の142人

毎日新聞 2014年03月26日 00時00分

 厚生労働省は25日、東京電力福島第1原発で事故直後の緊急作業に従事した作業員の内部被ばく線量について、研究調査のため再評価した結果、作業員1人が89.83ミリシーベルト低く評価されていたと発表した。国が定める原発作業員の被ばく限度の5年100ミリシーベルトを超え、1カ月半で180.1ミリシーベルト被ばくしていた。今回の見直しで計142人の被ばく線量が増え、昨年7月に被ばく線量を見直したにもかかわらず見落としがあったことを重く見た厚労省は、東電に対し改善措置をとるよう指導した。

 再評価の対象は2011年3〜4月の作業員。142人は89.83〜1.01ミリシーベルトの増加があった。被ばく限度100ミリシーベルトを超えた作業員は1人増え、これで計174人になった。

 厚労省によると、東電が内部被ばく線量に関する厚労省の統一の評価手法を使っていなかったため、昨年7月に最初の見直しを実施し、431人の被ばく線量を最大で48.9ミリシーベルト上方修正していた。東電は厚労省と異なり、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤に一定の効果があると判断し、ヨウ素131による被ばくを考慮していなかった。

 厚労省は東電に、個人線量管理部門の監査▽被ばく線量を公表する際は放射線管理の専門職の確認を受ける−−などの行政指導をした。東電は「指導を真摯(しんし)に受け止め放射線管理を充実させたい」としている。【鳥井真平、東海林智】

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