ZAKZAK for mobile

浦和、再び騒動ならJ3降格も まだ終わらぬ制裁 過去の度重なるサポーター騒動発覚・・・

ニュースカテゴリ:スポーツのサッカー

浦和、再び騒動ならJ3降格も まだ終わらぬ制裁 過去の度重なるサポーター騒動発覚・・・

更新

J史上初の無観客試合となった浦和−清水戦。選手の声だけがスタンドに響く異様な雰囲気に包まれた  浦和の一部サポーターが人種差別ととられる横断幕を掲出したことで、サッカーJリーグ初の無観客試合となった浦和レッズ−清水エスパルス戦が埼玉スタジアムで行われた。試合は1−1で引き分け、競技場周辺などでのトラブルもなかったが、過激なレッズサポーターがこれまでに起こした新たな騒動が判明するなど根は深い。再び問題が起きれば浦和がJ1から除名される可能性も浮上している。 (夕刊フジ編集委員・久保武司)

 「浦和レッズは、生まれ変わらなければなりません」

 リーグ史上初となった無観客試合後、浦和・淵田敬三社長(59)が記者会見の席で、そう強調した。だが、この言葉をJリーグなど関係周辺が鵜呑みにすることはない。事態は予想以上に根深く、サポーターが起こしてきた騒動は、これだけではなかったからだ。

 2007年、浦和が出場したクラブW杯で「複数の成人のサポーターが高校生用のチケットで入場した」(サッカー関係者)ことがあった。怒った国際サッカー連盟(FIFA)が「一体どういうことになっているんだ」とクラブへ“イエローカード”を通告した。

 だが、この問題も何事もなかったように処理され「味をしめたサポーターが(騒動直後の)横浜マリノス−レッズ戦も大人用のチケットで入場していない事実があった。それも、しっかり処分されたと聞いていない」(同関係者)という。

 また、J1が開催される多くの競技場では、浦和の過激サポーターが行ったとみられる施設の破損があった。ある競技場では「レッズ戦の後、消火器が全部なくなったことがあったということも聞いた」(別のサッカー関係者)。

 浦和サポーターの振る舞いは、限度を超えていた。それを象徴する愚行が2009年のナビスコ杯で起きていた。浦和サポーターが「テレビカメラのおかげで応援旗が破損された」と因縁をつけ、テレビ局スタッフに“土下座”を強要するという、ヤクザまがいの行動もあったのだ。

 この際も浦和職員は見て見ぬふり。後日、その事実を知った当時の浦和社長がテレビ局に謝罪に出向いたが、やはり、その後も何の対策を講じられることはなかった。

 騒動の再発防止へ、淵田社長は、これまで自由席にしてきたゴール裏のサポーター席を「指定席にする考えがある」と明かした。またサポーター席の通路に警備員やクラブ職員を配置、応援旗の事前登録を義務付けるなど、今後に向けた対策を強調した。

 だが、問題となった横断幕を掲示したとされるのは「蛇」というサポーター集団。淵田社長は「解散しました」と話したが、実際は他のサポーター集団に吸収合併されている事実がある。騒動の火ダネは残っているのだ。

 今回の騒動では、Jリーグ村井満チェアマン(54)が「Jリーグとして黙っちゃいられない」と無観客試合を即断即決で決めたが、この処分がなければ、人種差別に対し厳格な態度を貫くFIFAから厳罰が下る流れになっていた。それだけにJリーグでは再び騒動が起きた場合「J2ばかりではない、J3に降格すべきだ」という意見が噴出。厳しい目がクラブを取り巻いている。

 「クラブの風土、意識を改革します。信じてください」と淵田社長は訴えたが、自浄能力を見せることができなければ、浦和レッズというビッグクラブは沈没の危機に直面することになる。

 ◇

 この日の埼玉スタジアムは周辺も観客の立ち入りや応援が禁止された。最寄りの埼玉高速鉄道・浦和美園駅にも「入場、応援はお断りいたします」などと書かれた紙が掲げられた。開始7時間前の午前8時から浦和のスタッフや警備員229人が警戒に当たり、混乱はみられなかった。

 2つのメーンゲート付近は約20メートル間隔で、スタジアムがある公園の外周では約50メートル間隔で警備員が立った。

 ■無観客試合 サポーターの問題行動で試合運営が妨げられた場合などの制裁として適用される。開催クラブは入場料や会場での物販収入を得る機会を失い、ファンは観戦する場を奪われる。日本が関わった例では、日本代表が2006年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の出場を決めた05年6月のW杯アジア最終予選、北朝鮮戦がある。平壌での試合で観客が暴徒化した北朝鮮への制裁として中立地のバンコクで行われ、日本のサポーターは会場の外で応援した。

 ■無観客の経緯 8日の浦和−鳥栖(埼玉)で、浦和サポーター席へ入るゲートに「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が一部サポーターによって掲げられた。「日本人以外お断り」という意味にとれることから、試合中に浦和職員が撤去を要請、試合後に取り外された。だがJリーグは「差別的」と判断し、13日に次のホーム戦を無観客試合とする厳罰を下した。クラブでは当該サポーターを無期限入場禁止、当面の横断幕、応援フラッグの使用禁止も決めた。

ランキング