電動バイクメーカーMIRAIの社内チームTEAM MIRAIは3月24日、秋葉原UDXの東京アニメセンターにて、「パイクスピーク参戦発表会」を開催しました。「パイクスピーク・インター­ナショナル・ヒルクライム(Pikes Peak International Hill Climb)」は、別名「雲へ向かうレース(The Race to the Clouds)」と言われ、標高2862mのスタート地点から、4301mの頂上までのつづら折りの峠道を一気­に駆け上がるレースです。

TEAM MIRAIでは、自動車では酸素ボンベを詰むケースもある過酷なパイクスピークにおいて、グッドスマイルレーシングとコラボレーション。去年のマン島TTに引き続き、初音ミクのイラスト「レーシングミク (2014 ver.)」で彩られた電動バイク「TT 零13 改」で参戦します。

TEAM MIRAI

See all photos

14 Photos

 

まずは、PPIHCの動画をご覧下さい。



今回の「TT 零13 改」は、前年モデルが約180kgだったのに対し、143kgと約40kgもの軽量化を実現したボディが特徴です。電動バイクの場合、重量の多くをバッテリーが占めます。また、切り返しの多いヒルクライムコースでは、軽さがマシンコントロールにも優位となります。今回のモデルは、セルの分量・配置によって車体の重量バランスを調整し、車体(フレームやカウルなど)部分の軽量化を徹底しました。

電動バイクの心臓部と言えるモーターは、アグニ社製の空冷ブラシモーター。大電流をモーターに伝える重要な部品であるブラシは国産にこだわり、ブラシでは世界シェア第2位のオーパック社製を採用しました。エンジンで言えば空冷エンジンに例えられるブラシモーターは一世代古い印象がありますが、アクセルレスポンスが良く、バイクの特性に良く合っているため「乗っていてすごく楽しい」としています。



パイクスピークは、平均7%の勾配で、つづら折りのヒルクライムコースが延々と続くため、ゼロから最高速を何度も繰り返さなくてはなりません。つまり、非常に電気を消耗するということです。マン島のレースの場合、一度速度に乗せるとエコラン的な省エネ走行も可能でしたが、パイクスピークではバッテリーとモーターにとっては非常にキツいレースになる可能性があります。TEAM MIRAIでは現在、テストを繰り返しているそうです。

なお、レースのレギュレーション(ルール)として、スピーカー(近接音)を付けてレース中に流さなくてはなりません。せっかく初音ミクとコラボしているので、電動バイクならではの音の要素というものを加えていく方針。このほか、スマートフォンと連携して電圧や電流、位置情報を表示するなどの新しい装置を開発中ということです。



チーム監督でライダーの岸本ヨシヒロ氏は、「去年のマン島TTでライダーの松下ヨシナリ氏が事故で亡くなり、代走を務めたイアン・ロッカー選手も引退してしまい、マン島のレースを走ることができるライダーがおらず、一時はEVレースへの参戦を断念する事も考えた。しかし、後に続く若い人たち、チームのためにもチャレンジを続けて行きたいという想いで模索していたところ、パイクスピークにEVカテゴリが設けられたことを知り、チャレンジすることにしました」と今回のチャレンジに至った経緯を説明しました。

グッドスマイルレーシングの末岡大祐氏は、「電動バイクと初音ミクというのは、技術革新や新ジャンルを切り開く象徴だったり、多くの人々が関わって作り上げているというCGM的な観点など多くの共通点も感じており、コラボレーションに至りました」とコラボレーションについて話しました。

去年のマン島TTレースは、EVクラス6位完走という結果でした。今回のパイクスピークでも完走および良い成績が残せる事を期待したいと思います。