いまだ消えない:
ネットから消えない「デジタルタトゥー」……軽率なワンクリックが人生を壊す (2/3)
軽い気持ちで投稿した記述や画像が、膨大な数のネットユーザーに“まとめ”られ、瞬く間に拡散される……。便利なネット社会は危険と隣り合わせともいえ、専門家はユーザーに警鐘を鳴らしている。
目に余る幼稚な投稿、休業に追い込まれる店も
このように、近年は少年らによるSNSやネット掲示板への軽はずみな投稿が目立っている。コンビニで客の男がアイス用冷蔵庫に入り、自身の姿を撮った写真を投稿。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」では、複数の男子大学生が裸になってジェットコースターに乗る迷惑行為。他にも集団の男性客が全裸で席に座り、その写真を投稿……。
目に余る悪質な行為は、休業に追い込まれる店も出した。悪質な行為をした投稿者らが威力業務妨害容疑で書類送検されたケースもあり、ある捜査関係者は「今や誰でも手軽に画像や動画を公開できる時代。ネット世界と現実世界の区別がつかず、やってはいけないことの線引きがつけられないのではないか」と嘆く。
投稿した記述や画像は半年以上たった今でもネット上で拡散されている。それらは膨大な数のまとめサイトや個人ブログに広がり、消しても消してもネット上から消し去ることはできない。
少年たちは若気の至りから軽はずみな行動に出たのかもしれない。彼らの心には深い傷が残り、社会にも迷惑をかけるだけの結果となった。
1つの間違いが人生奪う……デジタルタトゥーの怖さ
「ネットユーザーは、1つ行動を間違えれば人生を失いかねない」
そう警告するのは兵庫県情報セキュリティーサポーターの篠原嘉一さん(53)だ。自身の投稿に注意するのは当然の自衛策だが、SNSに入力した住所、氏名、連絡先、勤務先などの個人情報は、設定次第では“誰でも”閲覧可能。裏返せば犯罪組織も見ることができ、事件に巻き込まれる危険もあると指摘する。
SNSでは、投稿した場所が「〜町付近」といった具合で公開される。スマートフォン(高機能携帯電話)ならGPS(衛星利用測位システム)機能で位置情報が分かる。パソコンでも通信事業者から与えられるネット上の住所「IPアドレス」で大まかな位置が分かるという。
もしそれが自宅であれば、住所が漏れる。知人が投稿した画像に自身の顔が掲載され、それが顔認識(タグ付け)されてしまえば…。自ら個人情報を大公開しているのと同じだ。
特定されると、誹謗(ひぼう)中傷を受けたり、自分になりすまして犯罪に利用されたりする恐れもある。篠原さんは「投稿した記述や画像は瞬時にまとめられ、それがだんだんと集約されると特定につながる。データは半永久的に消えず、投稿者は心に傷を負う」と話す。
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