いまだ消えない:
ネットから消えない「デジタルタトゥー」……軽率なワンクリックが人生を壊す (1/3)
軽い気持ちで投稿した記述や画像が、膨大な数のネットユーザーに“まとめ”られ、瞬く間に拡散される……。便利なネット社会は危険と隣り合わせともいえ、専門家はユーザーに警鐘を鳴らしている。
「デジタルタトゥー」。直訳すると「電子的な入れ墨」という意味だが、インターネット上に一度投稿されたログ(記録)はまるでタトゥーのように消えることがなく、半永久的に残り続けることを表す造語だ。軽い気持ちで投稿した記述や画像が、膨大な数のネットユーザーに“まとめ”られ、瞬く間に拡散される……。不本意な投稿が残り続けるのが、デジタルタトゥーなのだ。軽率なワンクリックで人生を台無しにしてしまうこともある。便利なネット社会はまさに危険と隣り合わせともいえ、専門家はユーザーに警鐘を鳴らしている。(桑村朋)
いまだ消えない線路侵入画像
デジタルタトゥーの概念が唱えられたのは平成25年2月。米カリフォルニア州で開かれたさまざまな分野の専門家らが集まる大規模な講演会「TEDカンファレンス」で、ベンチャー企業の役員が「人間は不死になった」との表現でこの造語を紹介した。
ヤフーやグーグルなど検索エンジンの検索履歴やサイトの閲覧先、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の位置情報や顔認識データ−。ユーザーの思考回路や行動がネットに記録され、そのデータは書き込んだユーザーが死んだ後も生き続ける“不死”の状態になるという。
大阪、神戸の市営地下鉄では25年夏、高校生の少年らが線路内に立ち入り、ピースサインをして楽しんでいる写真を短文投稿サイト「ツイッター」にアップして物議を醸した。少年らは当然、顔にモザイクなどかけておらず、ネットユーザーが投稿者の顔や名前からすぐに身元を“特定”。少年らの個人情報は一瞬にしてネット上にさらされた。
地下鉄を運営する市交通局は「運行に支障があったわけではないが、非常に腹立たしい」などと憤慨し、警察に通報。少年らはその後、鉄道営業法違反などの非行事実で家裁送致されてしまった。
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