横島と心眼の魔法使いへの道!!
レポート35
「魔法愚連隊GS世界へ!! その3」


 横島とネギたちは先ほど斉天大聖たちと顔合わせした部屋へと戻った。
 一人ずつ、ヒャクメがその能力で資質を分析し、トランク型のパソコンの中にデータを入力。そして斉天大聖や小竜姫がそのデータを見ながら助言するという形をとった。

「どの子たちも興味深い能力や資質を持っているのねー」

 ヒャクメがパソコンの画面を見ながらうなずく。

「では一人ずついこうかの。まずはネギからじゃ。とは言うもののネギはさきほど言ったことがそのまま助言になってしまうのう。視点を広く持つこと。お主はまだ10歳じゃ。まだまだ伸び盛りで、様々な可能性を模索しても良いからの。とは言うものの基礎をおろそかにしてはならぬぞ。まずはそこから始まる。それと強くなるのに焦ってはならぬ。じっくりと修行を重ねるが良い」
「は、ハイ!!」

 ネギが緊張したように返事をする。

「あと付け加えるなら、無理な肉体的訓練は避けてください。まだあなたは子供ですから体が出来上がっていません。無茶をすれば後々体にとんでもない悪影響を与えてしまいますから」

 そう小竜姫が付け足す。

「だとよ」
「う……」

 横島の言葉にエヴァンジェリンは言葉に詰まる。

「さて次は明日菜さんなのねー。これはまたすごい能力なのねー。魔法無力化能力なんてめったに現れない能力なのねー」

 ヒャクメが感心したように頷く。
 当の明日菜は戸惑ったような顔をしている。

「えっと……。そういうものなんですか?」
「そういうものなのねー。さすがに横島さんの文珠ほどじゃないけど。でも明日菜さんはまだこの能力を意識して使えてはいないのねー。明日菜さんはどういうときに魔法を無力化しているか覚えている?」

 明日菜はそう言われ、首を傾げて考えるしぐさをする。

「うーん……、あんまり覚えていないなあ…」

 明日菜の言葉にヒャクメ。

「やっぱり意識的に使えてはいないのねー。明日菜さんは無意識のうちに危険だと思ったもの、拒絶したいと考えた術や魔法を無力化しているのねー。なんでも無差別に魔法や術を無力化しているわけではないのねー」
「そう言われてみるとそうかも……」

 明日菜にはどうやら心当たりがあるようだ。

「考えてみれば当然かもしれねえな。もし姐さんが問答無用で無力化していたら兄貴との契約や魔力供給が行えるわけがねえからな」

 カモが頷く。

「ふむ、ある意味横島と同じく規格外の能力じゃの……。じゃからこそその能力については細心の注意を払わなければならんぞ、明日菜の嬢ちゃんや」
「え? 注意ってなんですか?」

 明日菜が慌てたように斉天大聖に聞く。

「つまりおぬしの能力を悪用する輩が現れる可能性があるということじゃ。おぬしたちの反応を見る限り横島の文珠のことを知っているようだが、やつとて最初から素直にその能力を明かすということはせんかったじゃろう?」
「ハイ……」
「おぬしの身の安全のためにもその能力はみだりに人には明かしてはならぬ、良いな?」

 斉天大聖は真剣な表情で明日菜に諭すように言う。

「ハイ、わかりました」

 明日菜も真剣な顔で大きく頷く。

「とは言うものの明日菜殿の能力はもう一部の敵勢力にばれてしまっているのですが」
「何、本当か!?」

 そこで心眼たちは召喚された悪魔が明日菜の能力を利用したことを伝えた。

「なるほどの。少々事態は深刻だな。本格的に嬢ちゃんが自分の身を守る方策を検討しておいたほうが良いの。嬢ちゃんは戦うときはどうしておるかの?」
「えーと、アーティファクトを出して、それを武器にして、ネギから魔力供給してもらって身体能力を高めるって感じですけど……」
「アーティファクト? 先ほど横島が出したようなやつか?」
「ええ、私の場合は武器なんですけど……」
「ちょっと出してくれるかの?」

 明日菜は少々逡巡するが、猿神が真剣な顔をしているので懐から仮契約カードを取り出した。

「アデアット」

 カードが輝くと明日菜の手には大きなハリセンが握られていた。
 しばしの間沈黙が流れた。
 斉天大聖たちの額からは冷や汗が流れている。

「……色々と突っ込みたいところじゃが、この武器はどういったものなんじゃ?」
「今わかっている限りじゃ、召喚された魔物を一発で送り返しちまうというものっすね」

 恥ずかしさで顔を赤くしている明日菜に代わりカモが答えた。

「ふむ、嬢ちゃんの能力と組み合わさっているのかの……? これにネギの魔力供給か……。少々弱いな……。ネギに負担が大きい……」
「兄貴の魔力量は膨大ですぜ! 姐さんに魔力供給するぐらいはわけはねえぜ!!」

自分の主の力を過小評価されたと思ったのかカモが怒りの声を上げる。

「ネギの魔力が切れた場合はどうするんじゃ? やつの魔力は無尽蔵ではあるまい? 切れれば嬢ちゃんの力は大幅ダウンじゃぞ?」

斉天大聖の鋭い一言にカモは言葉をなくした。

「じゃからこそ、嬢ちゃんにはできるかぎり自分自身の力で戦えるようになったほうが良いのじゃ。もちろん魔法無力化能力も含めてだがな。具体的には霊気、つまり気の力じゃな」
「え、それって横島先生や刹那さん使っているみたいなやつですか?」

 明日菜がびっくりしたように聞く。

「明日菜さんは実は無意識のうちに気の力を使っているみたいなのねー。だから身体能力が普通の人より高いのねー」
「そういえば明日菜さんは僕が杖で飛ぶのと同じくらいのスピードで走っていたことがありますけど……」
「そりゃまた人間離れした……」

 あきれる横島。

「横島先生に言われたくないわよ!!」

 そんな横島に明日菜は噛み付いた。

「まあ、ともかくも嬢ちゃんも気の力のコントロールを覚えたほうがよいの。そうすれば有事の際はそれで対応できるからの。横島、彼女に基礎を教えてあげなさい」
「え!? 俺がっすか!?」

 横島は斉天大聖のとんでもない発言に目をひん剥く。

「おぬしが適任であろう。それにおまえは曲がりなりにも教師じゃろうが」

 そう言われてしまうと横島も返す言葉がない。
 ただ困ったように頭を掻くことぐらいだ。

「あと明日菜さん、あなた……」

 ヒャクメがパソコンのモニターを見ながら戸惑ったように声をかける。

「え? 何ですか?」

 明日菜が不思議そうな顔をして彼女を見た。

「いえ、何でもないのねー。次の子に行きましょう」

 ヒャクメは考え直したかのようにあわてて次へと促す。

「次は木乃香の嬢ちゃんか。彼女に関しては戦い向きではないからな……」
「木乃香さんはその潜在的な力は膨大なんだけど、その力は治癒に秀でているのねー」
「うん。だからウチは治癒の魔法の練習をしとるんですけど……」

 木乃香の言葉は尻つぼみに消えていく。

「力の扱いがうまくいかないのはわかりますが、焦ってはいけません。そういった感覚が身につくのはやはり多かれ少なかれ時間がかかるものですから。長い目で訓練に励んでください」

 小竜姫の言葉に木乃香は頷く。

「さっきも言っていたけど木乃香さんは性格上戦闘には不向きなのねー。でも治療の術が使えるようになれば戦闘でもみんなを助けられるのねー。それにこのメンバーの中ではまともに治癒の術が使えるのは横島さんだけのようだから、彼の負担を減らすことができるのねー。だからがんばるのねー」
「はい、わかりましたえ〜」

 木乃香は姿勢を正して返事をする。
 最も彼女の場合はアーティファクトを使うという選択肢もあるのだが、やはり術でも扱えるようになりたいのだろう。

「ふむ、ある程度術が使えるようになれば防御系の術を覚えることも考慮しても良かろう。何も戦闘では攻撃だけが重要というわけではないからの。特に集団戦においてはな」

 斉天大聖がそう付け加える。

「次は刹那の嬢ちゃんか……。おぬしは烏族とのハーフじゃな?」
「は、はい」

 斉天大聖の質問に刹那は緊張気味に答えた。

「刹那さんは白い翼を持っているのねー。これは霊格の高い証拠なのねー。その潜在能力は他の烏族よりも高いのねー」
「へー、そうなんか?」

 横島が刹那に聞く。

「え? さ、さあ……、自分では良く分からないです……」

 刹那が戸惑いがちに言葉を返す。

「でもその成長を阻害しているとすればそれは自分自身なのねー」
「え? それはどういう……」

 刹那は思いもかけない原因に突拍子もない声を上げた。

「刹那の嬢ちゃんは自分のことをどう思っておるのかな?」
「えっと、以前はハーフである自分が嫌でした……。でも、今は……」
「その認識は変わってきておる、そういうことじゃな?」

 斉天大聖は優しく聞いた。

「は、はい……」

 斉天大聖は満足そうに頷く。

「それは良い兆候じゃの。もしおぬしが以前のような自己認識の下に修行を続けておれば間違いなく近いうちに伸び悩んでいたじゃろう」

 そう言って斉天大聖はネギたちのほうにも顔を向けながら言う。

「これは大事なことじゃからおぬし達も良く聞いておくのじゃ。まず、自分の力を伸ばすのに重要なことの一つは自分自身を受け入れ、信じてやることじゃ。自分自身の資質をしっかりと踏まえ、さらに自身が持つ可能性を認める。もしも自分自身を拒絶しておれば、実際の自分の望む結果のための行動と今の自己認識に矛盾が現れてしまう。言うなれば心と体がバラバラになってしまうのじゃ。そうなってしまうと本来できることもできなくなってしまう。何よりも自分を否定するその心が枷となってな」

 ネギたちは真剣な顔をして斉天大聖の言葉を聞く。
 特に刹那は一言一句もらすまいと真剣に耳を傾けていた。

「嬢ちゃんがハーフであった以上はつらいこともあったじゃろう。異端な存在とはどこの世界でも不当な扱いを受けるのじゃからな。じゃが残念なことに自分の過去を、生まれを否定しても何もならん。もちろん変わることもないし、変えることもできん。このわしに斉天大聖をやめろと言っていることと同様じゃ。どうせ変えることができないなら、自身が持つ可能性に目を向け、それをうまく生かしてやることを考えるのじゃ」

 そこまで言うと斉天大聖は一息つく。

「お主は人間と烏族のハーフとして生まれてきた。それを変えることはできん。たとえ万能の力を持つ文珠使いの横島やわしにもな。じゃがハーフだからこそ、他の人間や烏族には決して真似することができない何かがあるのだとそう信じなさい。ハーフであるということが最大なる武器になるのも、ならないのもお主次第じゃ」
「はい!! ありがとうございます!!」

 刹那は憑き物が落ちたような顔で返事した。

「あと、私は仙術を覚えたいと思っているのですが……」
「ふむ、仙術か……。確かに仙術は高度な気の技術体系を含んでおるからの。おぬしが興味を持つのは当然じゃな。じゃが、わしが教えるのは無理じゃ。もし習いたいのならば横島に頼むが良い」

 話を振られ横島は驚いた。

「え!? 俺がっすか!? ていうか教えてもいいものなんすか!?」
「そうじゃよ。それにわしは仙術を教えてはいかんと言った覚えはないのう。これも修行じゃ。人に教えるのもな。どうしても足りない部分は心眼が助けてくれるじゃろ」

 こともなげに斉天大聖は答えた。

「よ、横島先生よろしくお願いします!!」

 頭を下げる刹那に横島は返す言葉がなかった。
 つまり横島は明日菜と刹那という弟子ができてしまったことになる。

「うーん……。なんか自信ねぇー……」

 横島はポツリと漏らした。

「どうもおぬしは自信がなさげじゃな。まあそれでも以前よりは結構ましになったものじゃが……。もうちょっと自信を持ってもいいんじゃがのう」

 斉天大聖はあきれたようにつぶやく。

「まあ、横島よ。斉天大聖老師もああ言っておられるのだ。お前がちゃんと教えるのなら私もサポートするから必要以上に心配するな」
「タダオなら大丈夫だよ。僕にだってちゃんと教えてくれたじゃないか」
「よろしくね、横島先生」
「横島先生なら大丈夫えー」

 心眼、ネギ、明日菜、木乃香の激励が続いた。

「そういえば刹那さんは剣術もやっていらっしゃるんでしたね」
「あ、はい!」

 小竜姫に聞かれて刹那はあわてて返事をした。

「腕前を見たいですから、少し外で打ち合ってみましょうか?」
「は、はい! お願いします!」

 刹那は夕凪を手に取り、小竜姫といっしょに外へ出た。
 そして横島やネギたちも見物するべく、そろって部屋を出た。


あとがき
 妙神山での修行を期待していた方は申し訳ありません。こんなかんじになりました。 実はヒャクメが明日菜の記憶の封印に気がつくというエピソードを入れるかどうかかなり悩みました。明日菜の設定はまだ出揃っていないのでどこまで突っ込んで良いかわからなかったんです。まあ、示唆することぐらいは入れても良いと思ったんでこの程度にしておきました。
 次回で妙神山のエピソードは終わり、ネギま世界に戻ります。まだ戻ってからの話を
書いていないので遅れる可能性がありますが。週間連載なんてでかいことやらなきゃよかったー!!と思う今日この頃。
 ちなみに刹那対小竜姫を書く事は無いと思います。
 それにしても明日菜と刹那の弟子入り……、墓穴を掘ったか……(滝汗)。


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