津波で園児死亡 遺族請求を棄却3月24日 17時16分
東日本大震災で津波に巻き込まれて亡くなった宮城県山元町の保育所の園児2人の遺族が、保育士に待機するよう町が指示したために避難が遅れたなどとしておよそ8800万円の損害賠償を求めていた裁判で、仙台地方裁判所は、遺族側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
この裁判は、3年前の震災で津波に巻き込まれて亡くなった宮城県山元町の町立東保育所の園児3人のうち、2人の遺族が、町の災害対策本部が保育士に保育所で待機するよう指示したために避難が遅れたなどとして、町におよそ8800万円の損害賠償を支払うよう求めていました。
24日の判決で、仙台地方裁判所の山田真紀裁判長は、「町の災害対策本部は、当時、テレビやラジオによる情報収集は行っておらず、適切な情報収集が行われていたかについては疑問が残る」と指摘しました。
そのうえで、「情報を収集できたとしても保育士に待機を指示した当時の町の総務課長が海岸線から1.5キロ離れた保育所に津波が到達する危険性を予見できたとは言えず、過失を認めることはできない」として遺族側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
遺族「子どもに大変申し訳ない」
判決のあと、原告側が記者会見を開き、当時2歳だった長男の歩夢くんを亡くした渋谷亮さんは「納得のいかない判決で子どもに大変申し訳なく思います。情報収集は命に関わることで、町がやるべきことを1つでもしていなかったのなら過失として認められるべきだと思う」と話しました。
また、当時6歳の長男、将宏くんを亡くした鈴木あけみさんは「誠意のある謝罪もなく、このような判決を受けてとてもショックで、考えがまとまりません」と言葉を詰まらせながら話していました。
玉山直美弁護士は「今後の防災に対する意識を低下させてしまうような残念な判決で、これでは同じようなことが繰り返されてしまうのではないか危惧する」と話しています。
山元町長「事実を厳粛に受け止める」
判決について、宮城県山元町の斎藤俊夫町長は「町の主張は認められましたが、園児の命が失われたことにかわりはありません。この事実を厳粛に受け止め、今後の町の防災を考えていきたい」というコメントを出しました。
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