中韓首脳会談:歴史問題で対日共闘 安重根記念館を評価

毎日新聞 2014年03月24日 11時25分(最終更新 03月24日 13時01分)

 【ハーグ澤田克己、北京・石原聖】中国の習近平国家主席と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は23日夜(日本時間24日未明)、核安全保障サミット出席のため訪問したオランダ・ハーグ郊外のホテルで会談した。両首脳は、初代韓国統監を務めた伊藤博文を1909(明治42)年に暗殺した安重根(アン・ジュングン)の記念館が今年1月に現場の中国・ハルビンに建設されたことを評価。歴史問題で日本に対し共闘していく姿勢を改めて示した。両首脳の会談は、昨年2月の朴大統領就任以降、3回目となる。

 朴大統領は25日に安倍晋三首相、オバマ米大統領との日米韓首脳会談に臨む。日韓関係の早期改善を望む米国の仲介を受け入れたものだが、歴史認識問題では妥協する考えがないことを事前にアピールした形だ。

 青瓦台(韓国大統領府)によると、習主席が会談冒頭、中国黒竜江省のハルビン駅に開設された記念館について「建立するよう私が直接指示した。(記念館は)両国国民間の重要なきずなになっている」と述べた。

 さらに、1940年代に日本の植民地支配に抵抗しようとした朝鮮人が組織した「光復軍」の拠点があった陝西省西安に記念の石碑を建立する事業について「積極的に建設している。近いうちに完工し、除幕する」と述べた。

 これに対し、朴大統領は安重根記念館設置への感謝を表明。「両国民すべての尊敬を受ける安重根義士をたたえるものであり、韓中友好協力関係のよい象徴になる」と評価した。さらに「光復軍の石碑設置が順調に進んでいることも意義深いことだ」と述べた。朴大統領は昨年6月に訪中した際、安重根と光復軍の石碑建立を中国側に要望していた。

 中国には、日米韓首脳会談で3カ国が連携強化を打ち出すのを前に、これをけん制する狙いがあったとみられる。ただ、首脳会談に関する中国国営新華社通信の報道は、習主席が安重根記念館や光復軍に直接言及した部分には触れていない。

 両首脳は、北朝鮮情勢についても協議し、核問題解決へ向けた協力の強化で一致。習国家主席は、北朝鮮の核保有に反対する立場を改めて表明するとともに、中国なりのやり方で北朝鮮を説得する努力をしていると説明した。

 交渉中の中韓自由貿易協定(FTA)に関しては、朴大統領が年内妥結を希望し、習主席も早期妥結を希望する考えを示した。会談は、予定された30分を大幅に上回り1時間超行われた。

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