Fリテイリ:世界首位へブランド獲得か-米Jクルー買収協議
3月3日(ブルームバーグ):アジア最大のアパレルチェーンファーストリテイリング が米国展開を加速させている。米衣料小売りチェーンのJクルー・グループ の買収に向け協議していることが明らかになった。実現すれば売上高5兆円という目標に向け大きな前進となる。
関係者によると、交渉は初期段階でファーストリテイリング以外の企業もJクルーに関心を示しているという。Jクルーは年内の新規株式公開(IPO)も検討しており、同社の評価額は最大50億ドル(約5072億円)になる可能性があるという。
衣料品で世界首位を目指すファーストリテイリングは2020年に売上高5兆円が目標で、13年8月期からは4倍を超える成長が必要。11年にニューヨーク5番街に旗艦店を出した米国では売上高1兆円を目指しており、1月にはユニクロの海外事業などを担当する外国人執行役員4人の採用を発表した。柳井正会長兼社長は昨年、米国での店舗展開を加速し、昨年11月末現在で17あるユニクロの店舗数を「数年内」に100店舗まで増やす考えを明らかにした。
ジャパンインベストの大和樹彦副調査部長は、ユニクロが「米国で展開する場合、認知されているブランドと一緒だと展開しやすい」といい、戦略の一例としてユニクロ店舗とJクルー店舗を併設すれば、集客力を高めることが可能だと語った。
売上高岡崎健最高財務責任者(CFO)は先週香港で、20年に5兆円の売上高を達成する目標をあらためて示した上で、米国、欧州、中国、その他のアジア、日本で各1兆円を稼ぎ出すと話した。13年8月期の売上高は前期比23%増の1兆1430億円だった。
ファーストリテイリングはM&Aの目的について「海外や新しい市場でユニクロのビジネスのプラットフォーム」の獲得、「グローバル展開の可能性のあるブランドを買収し、事業ポートフォリオを強化・拡充」するためとウェブサイトで説明している。
同社は09年にリンク・セオリー・ホールディングス、12年に米国でジーンズを手がけるJブランドなどを買収。広報担当者アルド・リグオリ氏はJクルーとの協議についてコメントを控えた。
大和氏は「昔は『ユニバレ』といって、ユニクロを着ているのがばれると恥ずかしいと思う人が多かったが、今はそうでもない」という。「買収や、デザイナーを引き抜いてきたりしてデザインが良くなってきている。ディスカウントだけじゃない、というメッセージを発信してきている」と述べた。
オバマ米大統領夫人Jクルーは1983年にカタログ通販の企業として設立され、89年にニューヨーク市マンハッタンのサウス・ストリート・シーポートに旗艦店舗をオープン。3年前にプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社のTPGキャピタルとレオナルド・グリーン・アンド・パートナーズが26億4000万ドルで買収した。
Jクルーの商品価格帯は、スペインのインディテックスが展開する「ZARA」やスウェーデンのヘネス&モーリッツ(H&M)より上で、アレキサンダーワンなどよりも下。ファッション誌ヴォーグの米国版の編集長、アナ・ウィンター氏やミシェル・オバマ米大統領夫人がファンだ。
3日の取引でファーストリテイリングの株価は前週末比で一時1.8%高となったあと、1.2%上昇の3万5480円で取引を終えた。TOPIXは1.2%安の1196.76ポイントだった。
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更新日時: 2014/03/03 15:30 JST