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水谷金網工業(株) 破産開始決定ー銀行はいくらまで貸してくれるのか

水谷金網工業梶i名古屋市昭和区川名町4−35、代表:水谷三紀男)は8月5日、名古屋地方裁判所において破産手続きの開始決定を受けた。
負債額は約3億5000万円。(以上JC−NET)

川名にある会社まで歩いて20分程度。今(12日朝)現地調査から帰りました。何度も歩いたことのある川原神社のすぐ西の住宅街に会社はありますが、これまで全く知らなかった会社です。

敷地約100坪に3階建ての自宅と平屋の事務所(玄関に小さく社名表示)、倉庫。総建坪約50坪で残り50坪が駐車場。建物はこい茶色のタイル張りの堅固なものだが、新しくはなさそう。

@まるで生活臭がないのはなぜか、電力量計も動いていないようです。
A見たところ従業員5〜6人(フェンス設置工事業)規模のように見受けられるが、そうであれば年商は推定1億以下だろう。なのに負債額3億5千万円もある。通常であれば、3億5千万円のうち2〜3億円は銀行借入だろう。年商1億円の会社に銀行は2〜3億円もどうして貸したのだろうか。

戻ってからネットで調べてみても(規模が小さいためか)ほとんどこの会社の情報は得られない。ただ「県関連倒産防止資金融資制度」の倒産会社に、7/8付で会社名が掲載されています。ということは7/8以前に、すでに事業停止、破産申請準備を開始したものの、8/5になってようやく破産開始決定を受けたということか。事業停止してから、1か月以上経過していることになり、それなら人の気配、生活臭がなくてもおかしくないということになりそうです。

2〜3億円もの借入がどうして可能だったか。このあたりからは全くの推測の話になります。事実と大幅に異なる場合もあり得ますが、批判を恐れずに話を進めさせていただきます。関係者としては聞くに堪えない、我慢できないという場合にはどうかご指摘ください。何度も言いますが悪意を持ってこの日記を書いているようなことは決してありません。

不動産担保評価額は60百万円ほどになりますか、保証協会が緊急保証込み、無担保で160百万円保証したとすれば、都合220百万円ほどの資金調達は可能だったかもしれません。しかし(推定どうりとして)年商1億円程度の会社にどうしてそれほど貸し出しをしたのか。いったい銀行は貸出上限金額をどのように計算するというのか。

今でもよく言われます。年商の6割を超えると借入過多,年商同額程度が目いっぱいのところだと。これにはそれほど確たる根拠はないように思われますが、
年商(仮に)1億円×60%=借入上限60百万円
この場合の利息は60百万円×(仮に利率)4%=2,400千円(年間支払利息)
利子負担=年間利息 / 年商=2.4 / 100百万円=2.4%
売上の2.4%くらいの負担なら過大とは言えないだろう
という程度の根拠ではないでしょうか

これが(仮に)借入300百万円×(仮に)4%=12百万円(年間支払利息)
利子負担=年間利息 / 年商=12 / 100百万円=12%となり、売上の12%も利息を払って、それでもまだ儲かる商売などないでしょう、だからこれでは借入過多です、ということになります(金利により判断が変わってきますので注意)。

今の銀行はどちらかというと「返済可能な借入残か」という見方をします。60百万円の借入なら返済可能で、300百万円の借入なら借入過多だと判断する根拠は何か。
借金の返済原資は、営業キャッシュフロー(1年間働いて増やした金額はいくら?一般的には「純利益+減価償却費」)です。

@現在の借入が20年以内で(必ずしも20年というわけでもありません、銀行により年数の決め方は異なりますし、そもそもそんな計算をしない銀行もあります)返済できれば借入過多ではない。20年になるまではまだ貸増ができると考えます。
A年間返済額は営業キャッシュフローで全額返済できるのが望ましいと考えます。

現在の借入残=1億円とします
年間返済額=20百万円とします
営業キャッシュフロー=純利益+減価償却費=10百万円とします

@営業キャッシュフロー10百万円×20年=2億円となり、この会社は2億円の借入までは健全であると評価されます。まだ貸増できると。
A一方、年間返済額20百万円に対し営業キャッシュフローは10百万円しかないので不健全かというと、いまどき年間返済額がキャッシュフローより少ないという会社はきわめて少ない。いくらかは返済のための借り入れが必要であるのが普通です。この場合、約半分の10百万円、返済のための借入をしないと資金繰りに不足をきたします。私は自分の顧問先には、返済額の半分は会社の儲けで(キャッシュフローで)返済することを目標としましょうと言っております。

ところが中小企業の8割が赤字といわれています。赤字の会社は(償却も0なら)キャッシュフローは0以下ということです。キャッシュフローが年△5百万円なら、その限りでは「年間返済額+マイナスキャッシュフロー額5百万円」のお金を外部から入れ込まなければ資金繰りが回らなくなるということです。この会社は借入残が仮に10百万円しかないとしても、返済能力が全くないのですから、借入過多であるといわれてしまいます。世の中の8割の赤字会社は、それだけでもう借入過多の会社なのです。借入残が10百万円でも10億円でもです。

リスケをしているということは、年間の返済額が0なのですから、キャッシュフローが0でも構いません。しかし今のようにどんなに改善努力をしてもなかなか黒字にならない、相変わらずキャッシュフローは毎年△5百万円であれば、返済は0なのに5百万円お金が不足することになります。しかし、リスケ中だからという理由で銀行が金を貸してくれないのであれば、借金1億円の会社も10億円の会社も潰れてしまうことになります。年商1億円の会社も10億円の会社も同じです。中小企業金融円滑化法の弱点は、真水の貸し出しをすることに、政府も金融機関も消極的ということにあります。政府がリスケ中という理由で貸し出しを断ってはいけないことを金融機関に対し実質的に指導していない点にあるのです。リスケは積極的に指導するが、真水の貸し出しの指導は金融庁ではできない、と自見大臣は正面切って言っており、結局、だれも考えていないし指導もしていないらしいという点が問題です。(このことは東日本大地震の二重ローン対策でも同じことが言えます)

話はそれましたが、一口に「借入の上限」といっても色々な考え方がありますが、零細企業の上限は、「担保+保証協会の保証上限額」と考えたほうが現実的かもしれません。
保証協会の保証上限額も簡単に言ってしまえば「月商の2〜3倍」と考えておけばいいのかもしれません。
そんな風に考えると、水谷金網工業も、今は年商1億だが過去に5億くらいあったのであれば、借入2〜3億もありということになりそうです