時が経過した今、あのときの思いをどのように受け止めているだろうか。
もうひと月半ほどになる。町田樹にとって、ソチ五輪は、たくさんの感情の渦巻く舞台だった。
23歳で初めて出場したオリンピックだった。町田は、まず団体戦のフリーに登場する。それが試練の始まりだった。
当日の朝、「大丈夫かな」と不安に襲われる。いざ試合となると、プルシェンコのあとの滑走順。場内の異様な盛り上がりにさらされる中でリンクに立つことになった。
「ほんとうに足がすくんだというか、このままだとまずいと直前まで思っていたけれど、なんとかコールされてから1分間で気持ちを落ち着かせました」
と振り返った町田は、心境をこう表した。
「20年間憧れたオリンピックという舞台に来て、今シーズン一番弱い自分が心の底から現れてきました」
大会後、ほっとしたと同時に、悔しさがやってきた。
味わったことのない緊張を強いられた。それは団体戦が終わってもやむことがなかった。
それでも試合の日は近づいてくる。団体戦のフリーから4日経ち、個人戦のショートプログラムは11位にとどまる。それでも翌日のフリーは4位と巻き返し、総合では5位入賞を果たした。
試合を終えてみて、「ようやく肩の荷を下ろすことができた」と、ほっとした思いがあった。だが、それ以上に大きかったのは、悔しさだった。
ミスのない完璧な滑りを期したが、それはかなわなかった。さらに結果を見て、悔いは強まった。3位との差は1.68だった。強く願っていたメダル獲得への、わずかな、そしてあまりにも大きな点差だった。
「いまだに現実を受け入れられない自分がいる」
試合から1週間後、町田は言った。その言葉が心情を表していた。
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