大阪市長選:橋下氏…戻らない求心力 野党との深い溝

毎日新聞 2014年03月23日 23時47分(最終更新 03月24日 00時20分)

ボードを使って街頭演説をする橋下徹氏=大阪市北区で2014年3月22日午前10時22分、大西岳彦撮影
ボードを使って街頭演説をする橋下徹氏=大阪市北区で2014年3月22日午前10時22分、大西岳彦撮影

 大阪市の出直し市長選が23日投開票され、大阪維新の会公認で前職の橋下徹氏(44)=日本維新の会推薦=が新人3人を破り、再選を果たした。大阪府・市を再編する大阪都構想が、府・市両議会の野党との対立で事実上頓挫、事態打開を図って出馬した橋下氏に対し野党側は対抗馬を立てず、異例の選挙戦となった。投票率は23.59%(前回60.92%)と、同市長選で過去最低だった。当日有権者数は211万4978人。

 過去最低の投票率となった大阪市の出直し市長選。橋下氏は勝利をてこに大阪都構想の行き詰まりを打開したい考えだが、勢いはつかず、大阪府・市両議会の野党との関係修復は困難だ。維新の混迷も続いており、再選も求心力回復にはつながりそうにない。

 23日夜、当選を受けて大阪市の維新本部であった記者会見。選対本部長の松井一郎維新幹事長(大阪府知事)は淡々とした表情で、万歳三唱もしなかった。橋下氏の姿もない。

 「最後は住民投票だから、僕の支持率、投票率は関係ない」。橋下氏は15日、得票の目減りや低投票率に予防線を張りながら、都構想の是非を決める住民投票の実施を訴えた。だが、住民投票に持ち込むには大阪府・市両議会の議決が必要で、いずれも維新は過半数を持たない。野党との溝は深く、議決は現状では絶望的だ。

 出直し選後さらに手を打たねば、構想実現の可能性は生まれない。橋下氏は2月1日の党大会後、所属議員に「今年は2回選挙をやる」と発言していた。夏ごろに想定する都構想の協定書(設計図)の議決に野党が反対すれば再び出直し選を仕掛け、野党候補に勝利して「民意」を盾に議会を翻意させる−−との戦略とみられる。

 しかし公明、自民、民主、共産の各党は反維新の連携を強める。出直し選で議会を動かすのは容易でないうえ、半年後に再び6億円の経費を伴う出直し選をするリスクもある。

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