大阪市長選:色あせた看板「信任されたと言えない」の声も
毎日新聞 2014年03月23日 23時49分(最終更新 03月24日 00時25分)
「橋下ブームはもう去った。政治手法が未熟だ。政治家として行き詰まる終わりの始まりかもしれない」。橋下徹氏(44)=日本維新の会推薦=が大阪市長再選を決めた23日、維新国会議員団の幹部は橋下氏を辛辣(しんらつ)に批判した。
23日投開票された出直し市長選。投票率は23.59%(前回60.92%)と、同市長選で過去最低だった。当日有権者数は211万4978人。主要政党は対抗馬擁立を見送り、橋下氏の独り相撲が際立った。
維新の松野頼久国会議員団幹事長は23日夜、「各党が意図的に候補者を立てず、低い投票率に終わったことは遺憾だ。有権者を投票所から遠ざけた各党に猛省を促す」とのコメントを発表した。だが、維新の当選1回の衆院議員は「投票率が30%を下回ると信任されたとは言えない。なんのための選挙かとなる」と失望を隠さない。
低投票率も加わり選挙戦の勝利が党勢回復につながるという見方は皆無だ。橋下氏の存在感が低下し続けるなか、維新は結集軸を失い、将来像を描けなくなりつつある。
維新は橋下氏の発信力を頼りに国政選挙を戦ってきた。しかし、都構想が進まず橋下氏の国政への関与は薄まる一方だ。橋下氏の不在を埋めるはずの石原慎太郎共同代表も、トルコなどとの原子力協定をめぐり、党内に混乱を招いた。党をまとめる指導力が見当たらず、存在感を示せない。若手議員は「二枚看板が色あせ、八方ふさがりだ」と嘆く。
維新の状況に他党も距離をとりはじめている。橋下氏と結いの江田憲司代表は両党が合流した後に民主党の一部を取り込む野党再編を構想している。しかし、結い幹部は「再編への動きは遅れる。維新が走っている部分があったが、もう少し状況を見極めた方がいい」と語り、維新の動向を見定める考えを示す。自民党の河村建夫選対委員長は23日夜、都内で記者団に「起死回生のための選挙だとしたら、思惑通りにいかないだろう」と指摘した。