<2013年12月=東スポ携帯サイトより>
なにかと心が荒むニュースばかりの年末。久々に心がホッコリ、しかも笑える
〝いいニュース〟が入ってきた。
南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領の追悼式で、米・オバマ大統領をはじ
め、世界各国の要人の真横で弔辞を手話で同時通訳していた男性の手話がま
ったくのデタラメで、そもそもこの男性が何者なのかも把握されていなかったとい
うニュースだ。
自分の会社に入るのさえ、身分証の提示が求められる現代社会。ただでさえ
テロや暗殺の危険からSPの警護もマックスとなるこのような場において、世界中
の要人の横にすんなりと立ち、しかもデタラメな手話を全世界に向けて発信してし
まったのだから凄い。この男性は本国にて、何らかの処罰を受けるだろうが個人
的にはノーベル賞でもエミー賞でもプロレス大賞でも贈呈したいぐらい笑わせても
らった。
2012年夏のロンドン五輪開会式にて、行進するインド選手団の中に、まったく無関係なインド人女性が紛れ込み、一緒に行進してしまったという事件があったが、笑え
る度では今回の南アフリカのほうがはるかに上だ。
数日後、現地メディアのインタビューに答えたこの偽手話男は「自分は統合失調
症だ」「あの時はステージの上で天使と会話していた」「スタジアムに天使が舞い降
りてくるのを見た」「英国の大学で手話通訳を学んだ。オレは手話のチャンピオン」
などと答えている。この男性、日本流に言えば〝春の使者〟だったということなの
か…。
せっかく天使との会話をお楽しみのところを全世界に配信されてしまったのだか
らお気の毒。それと手話がデタラメだったのは無関係な気もするが…。それでも偽
手話男の弁をすべて鵜呑みにした上で、改めてあの映像を見返してみると、なん
となく空中を舞う天使たちと手話で会話をしているようにも見えるから不思議だ。
そこでつい思い出してしまったのが松方弘樹、目黒祐樹兄弟の父である往年の
時代劇スター・近衛十四郎が主演していた時代劇「素浪人天下太平」(昭和48年・
NET)だ。
近衛主演の素浪人シリーズは品川隆二演ずる焼津の半次を相棒に全国を旅し
た「素浪人月影兵庫」(昭和40年~)、「素浪人花山大吉」(昭和44年~)、そして
一文字隼人こと佐々木剛が演ずる、うづ巻の勘太が相棒となる「素浪人天下太平」
、ラストが息子である目黒祐樹が相棒役となる「いただき勘兵衛 旅を行く」(昭和
48年)と4作品が存在し、それぞれが高い人気を誇っている。
この「天下太平」は、どういうつもりのテコ入れだったか知らないが、オープニング
と劇中に毎度のように合成アニメによる、キラキラした妙な鳥(声は魔法使いサリー
の平井道子)が登場し、いちいち主人公の貧乏浪人・天下太平に憎まれ口のよう
なツッコミを入れるのである。
「ダンナ、今のはカッコ良かったけど、今夜の旅籠代はあるの?」などなど。
天下太平はキラキラした鳥が舞う空中に向かって「うるせえ!黙ってろ」なんて吐
き捨てるのが定番なのだが、劇中、このキラキラ鳥が見えているのは天下太平だけ
。よって、このキラキラ鳥と会話している最中の天下太平は、完全に周囲から春の
使者扱いされる。ちょっとお気の毒な浪人という感じなのだ。
世界中を笑わせてくれたお礼に、偽手話男を弁護させてもらうと、きっと偽手話男
はステージ上にて、天使と偽手話男にしか通じない特殊な手話にて天使と会話を
楽しんでいたに違いない。たまたまその横で、オバマ大統領らがマンデラ元大統領
に対する弔辞なんぞを読み上げていたということ。
これから始まる取り調べにも黙秘を貫き、自慢の偽手話のみで応対し、その模様
を映像配信して欲しいものだ。