今週のお題特別編「素敵な絵本」に参加してみたいと思います。
物語風にお送りします。
お姉ちゃんと弟くんの「しろくまちゃんのほっとけーき」
お姉ちゃんが初めて手に取った本が「しろくまちゃんのほっとけーき」でした。
お姉ちゃんは、しろくまちゃんが卵を落としたりしながらがんばってほっとけーきを作っていくのをいつも楽しみに見ていました。
でも、お姉ちゃんは、最後の方でしろくまちゃんとこぐまちゃんが一緒にほっとけーきを食べるところが嫌いでした。
お姉ちゃんは、3歳になるまでは一人っ子でした。お父さんもお母さんもお姉ちゃんの事をとても大事にしていて、お姉ちゃんの望む物は何でも与えていました。
お姉ちゃんはしろくまちゃんとこぐまちゃんとほっとけーきを食べるところを見て、「一人で食べた方がたくさん食べられるからいいじゃない」と言っていました。
弟くんが生まれたのは、お姉ちゃんが3歳の時です。
お姉ちゃんはそれまで独り占めできていた、おもちゃ、お菓子、そして大好きなお母さんまでも、弟くんと分けなければいけなくなりました。
あまり良い気がしなかったお姉ちゃんは、弟くんが生まれてからはずっと不機嫌でした。
でも、「弟くんと仲良くしてね」とお母さんに言われ、お姉ちゃんはだんだんと本当のお姉ちゃんらしくなってきました。
ある日、お姉ちゃんが「しろくまちゃんのほっとけーき」のページを破ってしまいました。破ったページはしろくまちゃんができたほっとけーきをこぐまちゃんに分けようとするページでした。
お母さんはびっくりして、なぜそんな事をしたのかと聞きました。
お姉ちゃんは答えました。
「こぐまちゃんに分けなければ、弟くんに分けることができるでしょ」
お母さんはお姉ちゃんの言葉にさらにびっくりして、お姉ちゃんの成長を喜びました。
☆
お母さんはまたお姉ちゃんに聞きました。
「ところで、最後にこぐまちゃんがお皿洗いしているけど、ほっとけーき食べてないのにかわいそうね」
お姉ちゃんは言いました。
「男は黙ってやることやってれば良いのよ」
お母さんは「さすが私の子ね」とお姉ちゃんの成長を喜びました。
おしまい
ちなみに、「しろくまちゃんのほっとけーき」もお姉ちゃんから分けてもらった弟くんはその絵本をぼろぼろにしてしまいました。 それでも、姉弟で分け与えるという事に気づかせてくれたこの素敵な絵本は、ぼろぼろになった今でも大事に取ってあります。