2014年3月23日23時30分
出直し大阪市長選は23日、投開票され、地域政党「大阪維新の会」公認で前職の橋下徹氏(44)=日本維新の会推薦=が新顔3人を破り、再選を果たした。橋下氏は大阪市を特別区に再編する「大阪都構想」の議論を進めるかどうかを争点に掲げたが、都構想に反対する政党は候補者の擁立を見送った。投票率は23・59%(前回60・92%)で過去最低を記録。橋下氏の得票は初当選した前回から半減し、大量の無効票も出た。選挙に圧勝することで「民意」を得て政策を進めるという手法が空回りし、橋下維新の政治的な影響力低下は避けられない。
再選を決めた橋下氏の任期は、自らの残り任期の2015年12月まで。橋下氏は大阪都構想の設計図を夏までに作る方針だ。
大阪府知事選とのダブル選となった前回11年は75万票余りを獲得したが、今回は約38万票だった。有権者数に占める得票の割合は35・67%から17・85%と大幅に下落。無効票は過去最多の6万7506票(うち白票4万5098票)に上り、投票総数の13・53%を占めた。圧勝して都構想を進めようという戦略は、正当性に疑問符が付いた。
橋下氏は都構想を実現する手段として、大阪維新の会や国政政党の日本維新の会を立ち上げた。統一地方選やダブル選に勝ち続けることで自らの足場を固め、国政でも第3党に躍進した。だが、昨年7月の参院選で伸び悩み、9月の堺市長選で公認候補が敗れて失速。今回、橋下維新の退潮傾向は一層鮮明になった。
橋下氏は選挙期間中、街頭タウンミーティングや個人演説会で、都構想の利点を訴え続けた。これに対し、自民党や民主党、共産党といった都構想に反対する政党が対立候補を立てず、争点とはならなかった。そのため、有権者は投票の選択肢を失い、投票率は低迷。過去最低だった1995年の28・45%にも届かなかった。
出直し選を経ても、維新が過半数に及ばない大阪市議会や大阪府議会の構成は変わらない。橋下氏は10月に住民投票で賛否を問い、来年4月の大阪都移行を目指すが、必要な議会の議決は厳しい状況。橋下氏は「都構想が崩れたら僕自身の存在意義がない」と主張するが、橋下氏だけでなく党の存在意義も揺るがす局面に陥った。
橋下氏は都構想の制度設計を話し合う法定協議会から反対する政党のメンバーを外すことも公約。民意の「追い風」を受ければ府議会の議決などで差し替えを実行する構えだったが、狙い通りの風は吹かなかった。来年4月の統一地方選に向けて、政党間の対立が激しくなるのは確実だ。
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