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<消費増税>燃料費高騰も加わり値上げ検討…銭湯悲鳴

毎日新聞 3月24日(月)5時30分配信

 4月1日からの消費増税をにらみ、全国47都道府県の少なくとも約半数で銭湯の入浴料金を値上げする動きが出ている。このところの円安に伴う燃料費の高騰に増税が追い打ちをかける格好で、経営者は客離れを懸念している。

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 銭湯は風呂を持たない世帯を支える公益事業の側面があり、今も敗戦直後のインフレ対策で設けられた物価統制令の対象だ。料金は都道府県の審議会や協議会での議論を踏まえ知事が決定。ただし「スーパー銭湯」「日帰り温泉」などレジャー性の強い施設は含まれていない。

 毎日新聞が各都道府県で銭湯を所管する部署に取材したところ、2月時点で愛知や静岡など6県が近く値上げすることを決定。このうち長野県は今月、既に値上げした。更に17都道府県が値上げを検討していると回答し、理由は大半が消費増税と燃料であるガスや重油の高騰だった。

 財務省の統計によると、液化天然ガスの輸入価格は震災前の2010年に1トン当たり平均約4万9000円だったが、13年には約8万円に上昇。重油価格も11年2月時点の1リットル当たり約70円から、昨年12月には約90円に上がった。そこへ3%の増税がのしかかる。

 新潟県は2月、現行の入浴料金390円を4月から420円に値上げする方針を決めた。値上げは7年ぶり。3代続く新潟市中央区の銭湯「千鳥湯」を経営する熊谷孝さん(50)は「裸の付き合いができる場所なので無くしたくはないが、経営努力はもう限界だ。値上げでまた客が減ると商売できない」と嘆く。

 東京都の組合も08年の20円アップに続いて値上げを検討。ただ、銭湯でつくる都公衆浴場業生活衛生同業組合内部には「前回の値上げで利用客が1〜2割減った感覚」があるといい、据え置きを求める声もあるという。

 1960年代後半、都内に約2700軒あった銭湯は約4分の1に減少。同組合江戸川支部長で銭湯「竹の湯」(江戸川区)を営む竹内善衛(よしえい)さん(67)は「値上げすれば客足は遠のくが、今の料金で個々の銭湯がどこまで我慢できるのか。経営者も客も高齢化しており、消費増税を機に店じまいのムードが高まりかねない」と懸念している。【塚本恒、木村敦彦】

 ◇全国各地で独特な「銭湯事情」

 銭湯を巡る事情は地域によって大きく異なる。「朝風呂」文化があり、人口10万人当たりの銭湯数が全国一の青森県に対し、山形県では市街地周辺に温泉施設が多く、銭湯は一つしかない。

 秋田県や茨城県などは銭湯が減少したため組合が解散。値上げを要望する際などに業界内の意見統一が難しくなっているという。

 入浴料金は佐賀県の280円から東京都、神奈川県の450円までまちまち。ただ、家庭風呂の普及で経営が苦しいのはどこも同じ。障害者・高齢者施設の団体割引導入など個々の銭湯が利用者拡大に知恵を絞っている。

最終更新:3月24日(月)5時30分

毎日新聞

 

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