ニューデリー=蔵前勝久
2014年1月26日00時56分
安倍晋三首相は25日午後、インドに到着し、シン首相と会談した。海洋進出を強める中国を念頭に、航行の自由、国際法に従った紛争の平和的解決の重要性を確認。経済、安全保障の分野で一層の連携を強めることで一致した。
両首相は共同声明を採択し、シン首相が安倍首相の掲げる「積極的平和主義」について、地域の平和と安定に貢献する日本の努力を称賛したと声明に明記した。ただ、シン首相が会談で中国の現状について質問し、安倍首相が「偶発的な衝突が起こらないよう、コミュニケーションチャンネル(通信経路)を持つべきだと考えているし、つくっていきたい」と答える場面もあった。安全保障分野での連携強化に向けて、2012、13年に続き、海上自衛隊とインド海軍の共同訓練実施などを盛り込んだ。
会談で安倍首相は、インドへのインフラ輸出拡大を目指し、経済支援としてニューデリーの地下鉄整備などに新たに2千億円の円借款の供与を表明。一方、日本からインドへの原発輸出に必要な日印原子力協定については、昨年5月のシン首相来日時に交渉を加速させることで一致したが、今回の合意は見送った。安倍政権は原発輸出を成長戦略に掲げるが、核不拡散条約(NPT)に加盟せずに核兵器を保有するインドとの協定締結には慎重論も強く、継続協議とした。
首相は25日午前、政府専用機で羽田空港を出発した。インドの憲法公布を祝う「共和国記念日」の26日には、日本の首相では初めて主賓として記念行事に出席する。(ニューデリー=蔵前勝久)
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