ここ数年、クレームに過剰反応して、個人や組織が言論や表現を自主規制しがちな傾向が見られる。そんな中、“日本一のゲイタウン”東京・新宿2丁目にあるHIV啓発の巨大看板が、新宿区役所に寄せられた数件の苦情で大幅修整するハメになった。一体その看板の何がいけなかったのか?
新宿2丁目のメーンストリート「仲通り」の交差点に昨年末、HIV治療薬の開発・販売に特化した製薬メーカーがビルに壁面広告を出した。「HIVに感染している人も していない人も みんなこの街で一緒に生きている」などのメッセージが入り、男性6人が時計回りに寝そべっている巨大イラストだ。
今年に入ってクレームがついたのは6人の中で唯一、パンツ一丁で裸のマッチョ男のイラスト。公募で作品が採用されたイラストレーターは、指摘されたマッチョにタンクトップを着せ、短パンをはかせた修整イラストを打診したが、短パンの前の部分がはだけて「下着が見えている」ため区側が受理しなかったとブログにつづっている。
看板に修整が施されたのは今月半ばのこと。問題にされたマッチョのパンチラ部分は、短パンと同じ色で“不自然に”塗り潰された。
新宿区みどり土木部土木管理課の担当者によれば「地域の方から『裸の男性が写っている。何とかならないか』『子供が見て笑ったり、話題にしてるんで…』などのクレームが3件ほどあった」という。苦情主は、かなり強硬な口調だったとか。2丁目では、若者の裸の映像を流したテレビ画面広告を展開している店舗もあり、それとひっくるめたクレームもあったとも。
苦情が寄せられ、区側は看板の存在を初めて知った。屋外広告を掲出するには都条例で区の許可が必要だが、メーカー側は許可を取っていなかった。その手続きが必要だとメーカーに連絡した際、土木管理課は苦情が入っていることを伝え「できれば何か改良を」と持ちかけたという。
前出の区担当者は「“これはマズい”と役所が断じたわけではありません」。イラストレーターが言う「下着が見えている」から修整案を通さなかったという事実はなく「その短パンからパンツが見えているという修整イラストを、先方はこちらに直接持って来てませんよ」とのことだ。
双方の主張の食い違いや掲出許可の不備に関し、メーカー側は広告代理店に丸投げだったため詳細は不明としたが、看板の修整は「苦情があったゆえに企業として、これに従いました」と自主規制であることを認めた。
ゲイタウンで公共性の高い“非エロ”広告、しかも写真ではなくイラストの男性ヌードなのに、クレーム数件で服を着せ、短パンをはかせざるを得ないとは行きすぎという意見もある。新宿区関係者に聞くと、このテの苦情は以前からあったという。
「一般的に言うと、あのエリアはそういった方(ゲイ)が多い場所ですが、それを受け入れている方が全てではありません。2丁目と言われることに神経を使っている人もいますし…」
だからといってゲイ関係の広告、看板などの掲示物が「全てダメだと言うつもりもありません」(新宿区関係者)。決して区がゲイに差別的というわけではないようだ。
“女子アナセクハラ被害”を激白した元フジテレビアナ・長谷川豊がマイクをペンに持ち替えて、女子アナたちの嘔吐事件、不仲疑惑、未成年アイドルとの飲酒騒動など“とくダネ”大放出!