空間、時間、距離あらゆるものを、言葉が飛び越えて行く。情報通信技術の疾走感あふれる進化により、物理的制約などは粉々に粉砕されてしまった。もはや、言葉がスカイフィッシュのように気づかないうちにビュンビュン飛び交う魔法の世界。旧石器時代にタイムスリップして、古い奴らが住む洞窟に入り混んで引きずり回したのちに、現代に連れ込んだら、きっと痛みと驚きの両方から総攻撃を受けて昇天してしまうことだろう。カエル達もいつもより飛び上がってしまうほどの異常事態が常に展開しているのだ。今まで小さな世界に隠されていた言葉が、ワールドワイドに拡散し可視化されてしまう。それはそれは恐ろしい暴虐魔人気狂い物語の始まりである。
消去する予定だった言葉が、逃げ出して捕まえられない
恐ろしい話だが現代は、自らが放った言葉によって傷だらけにされてしまう可能性がある。それは何故かと言えば、Twitterやフェイスブックと言った言葉を奴隷にして、睡眠も取らせず延々と働かせることで集客を掛けるという奴隷ビジネスが始まったからだ。優しく飛んでくる美しい落ち葉の集団や、秩序をそこから学べるような綺麗な整列集団アリを観察する暇もなく、ネットの世界で重労働を行う言葉達。かわいそうで笑いが止まらないよ。涙を流すだけが悲しさの表現方法ではない、真逆に向かって走り出すほど大きな思い入れがあるのだ。このように僕が呵呵大笑してしまうほど、言葉奴隷ビジネスが隆盛を極める。これはニッコロマキャヴェッリすらも、「南極のペンギンたちとゆっくり暮らしたいよ……」と泣き言を放ち始めるほどの異常事態だ。
ダンディーの変態性すらも炙り出す
街を颯爽と歩く色男。短パンにシャツ一枚でも様になる、神様が持つ財布から引っこ抜いた金色の硬貨とでも言いたくなるような、勝者。グランプリ死ぬまで参加、全て優勝のダンディー。圧倒的なズルさを持ち合わせ、法律が消滅した途端に手持ちナイフでぶっ刺され神の元に返還されてしまう悲しき運命を持ったムカツク存在だ。天から価値あるものを全て盗み取って来たようなその光り輝く存在には、「精神世界もさぞかしお綺麗なんでしょうね」とでも言ってやりたくなるほど、心すらもイケイケだと思えてしまう。
しかし、事実は急降下する子猿の様でかわいそうなのである。裏で中年女性からパンティーを売ってもらいコレクションしている、好きなアイドル声優のドアップ写真をプリントアウトして壁がなくなるほどに貼り付けている、抜いた歯を女子高生の背中に入れて、背中と歯が絡み合う貴重な時間をつぶさに監視しているなんてこともあるのだ。見た目がダンディーでイケイケだからと言って、心までも一級品で聖人君子とはいかない。
これらのダイヤモンド級の変態性は世界中にバレてしまう可能性もあるのだ。例えば、裏ブログを運用していて、そこに過去の変態歴を記入していたのが何かの拍子で表に出てしまう。Twitterは小さな世界だけに言葉を飛ばせると勘違いして、振り絞った性癖を並べ立ててしまう。エロイプ(スカイプを使用したエロ遊び)の最中に変態芸を見せつけたら、実は録画されていてFC2動画にばら撒かれてしまう。この様に、世界全体を虜にする常時価値が高騰しているような人材の変態性すらも暴いてしまうのが、ネットなのだ。
炙られて出来上がる焼きメンヘラ
何度も書いたが、ネットは言葉を奴隷にする。苦しみや悲しみの渦が巻き上げた悲壮感の集まりすらも金を生む卵にしてしまう。その残虐性は切り裂きジャックも切り裂かれるほどである。この言葉ビジネス社会において、最も痛手を負うのは誰か? そうメンヘラである。一度目を付けられた生のメンヘラは、いつまでも炙られて仕舞いには焼きメンヘラとなってしまう。最初は生のたらこの様に柔軟性を持っていたが、最後には足ピン状態な焼きたらこの様になってしまう。焼きメンヘラは、既に焼きが回っている為、深い思考など出来ない。「熱いのぉん」などお姫様言葉を多用して可愛さアピールをしても無駄である。こんがりと焼かれて、そのまま放置されシケてしまう。シケメンの誕生だ。悲しきメンヘラは右肩上がりの進化など出来ず、遺伝子突然変異が起こった動物の様に今までにない存在になる。ネット社会は、利便性を提供してくれると同時に攻撃も仕掛けて来るのだ。愛があるのかないのか不明で、反抗期の子供の様なものだから手に負えない。困ったちゃんだ。
凶器を振り回す殺戮案内人
昔読んだ、アンブローズ・ビアスの、『悪魔の辞典』に知っておかなくてはならない大事な文章が書かれてあったので引用しておく。
悪人 人類を進歩させて行く最も重要な要因
ネットは多数の被害者を生み出す悪の一面もあるが、同時に人類を新たなフェーズへと移動させる案内人でもあるのだ。その手には良く研がれた脇差が握られていて、血がついているのも分かる。通り魔のように止まらない恐怖を与える存在ではあるが、案内人はこいつしかいない。三枚おろしにされてしまう覚悟を持ちながらも、新たなフェーズに突入するためにも案内して貰わなくてはいけないのだ。
変態ダンディーにしてもメンヘラにしても本当に心が痛む被害を被っているが、それでも尚歩き出す必要がある。強い一歩だけが、この殺戮案内人に負けない為の手段なのだ。
- 作者: アンブローズビアス,Ambrose Bierce,西川正身
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/01/16
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Amazonで本を15冊注文した。これは殺戮案内人に三枚おろしにされる過程なのかもしれない。ネットは善良に暮らしている僕から金も巻き上げようと企んでいる。情報通信技術は人を潰す。