中国石油化工集団(シノペック)は中国の国有工業セクターを象徴している。巨大で、無秩序に手を広げており、資金を必要としているのだ。
シノペックが外部資本を受け入れようとしている今、投資家は関心を向けるべきなのだろうか?
アジア最大の石油精製会社であるシノペックは、2012年の決算報告で年間売上高が4380億ドルに上り、化学製品、発電所、そして、もちろん石油製品に加え、コンビニエンスストアから不動産、ホテルまで手がける帝国を運営している。
だが、大半の中国国有企業――1990年に市場が開設されて以来、数百社の国有企業が香港と中国本土への株式上場を通じて数兆ドルの資金を調達してきた――と同様、シノペックの株式の約4分の3を政府が握っている。
それゆえ、民営化の中心に中国流のパラドックスが存在する。国有企業は経営権を手放すことなく資本を得たいと考えているのだ。シノペックなど一握りの国有企業が新たな資金調達に乗り出そうとしている今、この難問に再び厳しい目が向けられている。
期待外れの国有企業改革
輸送、エネルギー産業などの国有企業は2年近く前に提案された改革を利用しようとしている。国有企業が別会社になっている事業部門の最大30%の少数株式・権益を売却することで、民間資本、外国資本、あるいは「社会」資本――年金基金などを指す中国の呼称――に資金不足を埋めさせるのを認める改革だ。
この改革は、独占を脅かしかねない戦略的インフラ部門の民間、外国競合会社への開放には到底至らず、民間部門に対する窓がもっと大きく開かれることを期待していた向きを失望させた。
「単刀直入に言えば、民間資本にチャンスが与えられるのは、ある産業が開発が困難な時期に入った時だけだ」。民間コングロマリット(複合企業)、復星(ホスン)の郭広昌会長は今月、全国人民代表大会(全人代)の会期中にこう語った。
バークレイズのアナリスト、ソムシャンカー・シンハ氏は、民間資本の注入が国営巨大企業を機敏なプレーヤーに変えることもなさそうだとし、「少数株式の売却といったことは確かに現金を調達するうえで役立つが、構造改革が行われている証拠は全く見られない」と言う。