バークレイズ、孫社長の怒り買いアリババ手数料逃す-関係者
3月21日(ブルームバーグ):英銀バークレイズ は支援すべき資産家を誤った。
事情に詳しい関係者によればバークレイズは、資産家チャーリー・アーゲン氏率いる米衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークが昨年試みた携帯電話会社スプリント買収で助言と融資を行ったがために、中国の電子商取引運営会社アリババ・グループ・ホールディングの新規株式公開(IPO)で数億ドルに上る手数料の分け前にあずかる機会を逃した。
情報が非公開だとして匿名を条件に語った関係者らによれば、ソフトバンクの孫正義社長は同社に対抗したアーゲン氏のスプリント買収提案にあまりに憤慨したため、アリババにバークレイズとの取引をやめるよう強く求めた。ソフトバンクはアリババ株の約37%を保有しており、孫氏はバークレイズとの取引中止の要請をアリババの創業者ジャック・マ(馬雲)氏に直接伝えたという。ディッシュとソフトバンクの買収合戦では最終的にソフトバンクが勝利し、スプリントを216億ドル(約2兆2000億円)で買収した。
この一件は、競合する複数の顧客と銀行が取引を行う際のリスクを浮き彫りにしている。取引相手を選ぶ場合、大手金融機関は「ビジネスセレクション」と呼ばれる手法を用いるが、ここでは通常、どちらの企業の方が長期的により多くの手数料をもたらすかという点を基に選択する。ミシガン大学ロス・ビジネス・スクールのエリック・ゴードン教授は、孫氏のバークレイズに対する容赦ない決定は、アリババの他の株主の利益に反するものだと指摘する。
ゴードン教授は「主要株主が罰を与えたがっているという理由だけで世界的に重要な引受金融機関を外すのは、企業の利益に反する」とし、「影響力を持つ人物が仕返しを望んだとしても、第三者を巻き込むべきではない」と述べた。
関係者の1人によれば、孫氏は昨年の春、スプリント買収に向けた取り組みの真っ最中にマ氏に電話し、アリババが獲得を目指していた80億ドルの融資の提供元からバークレイズを外しておくよう求めたという。
また別の関係者によると、孫氏の怒りを察知したバークレイズは同年に、IPOに動く可能性のある中国の他のインターネット企業に目を向けた。最終的にバークレイズは時価総額でアジア最大のインターネット企業テンセント・ホールディングス(騰訊)と取引することになったという。
原題:Barclays Said to Miss Alibaba Fees by Defying SoftBank’sSon (1)(抜粋)
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更新日時: 2014/03/24 07:00 JST