名古屋は途中出場のルーキー、松田力(りき、22)が後半42分に勝ち越しゴールを決め、2−1で神戸を逆転。3連勝で勝ち点を9にして4位に浮上した。サポーターが差別的な横断幕を掲げた問題で処分を受けた浦和は、Jリーグ史上初の無観客試合で清水と対戦し、1−1で引き分けた。鹿島はC大阪に0−2、横浜Mは甲府に0−1で敗れて今季初黒星を喫し、開幕からの連勝が3で止まった。フォルランがJ1初ゴールを挙げたC大阪は勝ち点を9に伸ばした。徳島は柏に敗れ、開幕4連敗。新潟は鳥栖、大宮は仙台に勝った。G大阪−広島は引き分けた。
◆名古屋2−1神戸
早春の青空の下、ホームの瑞穂を“リキ色”に染め上げた。後半42分、MF小川のパスを受けたのは途中出場の新人FW松田。右足で切り返して神戸DF岩波をかわすと、GKをあざ笑うように左足でふわりと浮かせてゴールへ流し込んだ。鮮やかな決勝弾に飛び上がって右拳を突き上げるド派手なガッツポーズ。西野監督は飛び跳ねながら歓喜を爆発させ、ゴール裏からは「リキ・ゴール」の歌が鳴り響いた。
「かわした時点でイメージできてました。左足のチップキックでちょんと。あれ、メッシみたいじゃないすか!? あ、これ書かないでくださいよ、オレいじられるんで」。待望の一発に、リキ節も全開だ。昨季は特別指定選手としてプレーした大分で9試合4得点。しかしプロ入り後は苦しんだ。キャンプから2トップの一角に起用されながら結果を残せず、開幕戦でスタメン落ち。ベンチ入り5試合目でようやく生まれたプロとしての初ゴールだった。
新入団会見で会場を爆笑させた明るいキャラクター。しかし大型新人として浴びた注目は、いつしか重圧に変わっていた。「プロになって、結果を残さないといけないと焦っていた。この試合で永井さんがベンチを外れて、次はオレの番じゃないかと思っていた」。
だからこそ、細かい努力を怠らなかった。故障予防のための五本指ソックスを愛用し、公式戦ではゲーム用ソックスの下部を切って併用する。また、イタリア・カンパリ社の超高級カーボン製すね当てを新人ではいち早く注文。いずれも特注で、松浦用具担当は「いいものをいち早く取り入れようという意識の高さは、新人ではなかなかいない」と舌を巻く。19日のナビスコ杯甲府戦からは、筋肉の力を引き出すクエン酸のサプリメントを取るようになった。
試合後、今季の目標を問われ、「自分の背番号は取りたい」と17得点を掲げた松田。4節を終えて首位戦線に食い込んだ西野グランパスが、若い力でさらなる上昇曲線を描く。 (宮崎厚志)
<松田力(まつだ・りき)> 1991(平成3)年7月24日生まれ、大阪府出身の22歳。176センチ、70キロ。スピードとパワーを兼ね備えた万能FW。立正大淞南高を経てびわこ成蹊スポーツ大へ。3年時には関西学生リーグ1部で25得点を挙げて得点王。昨年は大分の特別指定選手としてJ1で9試合に出場して4得点。双子の兄・陸はFC東京でプレー。
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