「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明」

喫茶オダジマの休日

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2014年3月24日(月)

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 昨年の11月に、自宅から徒歩2分ほどのところにあったファミリーレストランが閉店した。
 以来、色々と困っている。

 以前は、インタビュー取材や打ち合わせなど、ちょっとした会合は、ほぼすべてその店で済ませていた。

 広さや雰囲気のこともあるが、地下鉄の駅から近くて、はじめて訪れる人が容易にたどり着ける立地が、待ち合わせに使う店として好都合だったからだ。

 それが閉店されてみると、適当な店が見当たらない。

 そんなわけで、次なる店を求めて歩きまわったわけなのだが、そうやって自分の住んでいる町を自分の足でひと通り歩いてみて、喫茶店という業態がほとんど死滅してしまっている現状にあらためて気付かされた次第だ。

 おそらく、この10年ほどの間に、町から消えた店を3つ選ぶのなら、写真館と本屋と喫茶店になるはずだ。

 JRの駅の近辺で新しい拠点を探すことにした。
 JRの赤羽駅は自宅から徒歩で10分ほど離れているのだが、地下鉄の駅の周辺に適当な店がない以上、そっちを当たってみるほかにどうしようもない。

 候補の店をいくつか当たったのだが、どの店も、いまひとつ決め手に欠ける。

1. 駅ビルの中にあるスターバックスは、常に混雑していて、席を確保できる保障が無い。
2. ガード下の施設にあるドトールも同様。交差点みたいにやかましい。
3. 西口から一番近い小ぶりなカフェは喫煙老人の巣になっている。
4. 東口の直近の珈琲館も喫煙派の根城。猛烈にケムい。
5. 東口の向かい側にある老舗の珈琲屋は定休日(火曜日)があって使いにくい。
6. 駅前のビルの8階にあるおしゃれなカフェは、午後3時から5時半まで店を閉める。

 なんというのか、喫茶店の数が減ったせいなのか、立地の良い店はやたらと混むようになっている。

 これは、私の住んでいる町に限った話ではない。
 都心では、さらに急激な勢いで、喫茶店が閉店している。
 なので、どこへ行っても、駅付近のスタバやタリーズは、死ぬほど混んでいる。

 待ち合わせに好適な立地の良いチェーン店が混雑している一方で、昔からの町の喫茶店は、さほど繁盛していない。

 理由のひとつは、個人営業の店は、営業時間が不規則で、定休日がある場合も多いからだ。
 そういう店は、待ち合わせには使いにくい。
 私自身、「梅の木」という駅前の老舗の珈琲店の前で、何度か先方を待たせてしまったことがある。

「あのぉー、ご指定の店の前に来ているのですが、定休日のようで……」

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