2011年5月23日17時0分
東日本大震災の被災者を支援する募金箱の窃盗が全国で相次いでいる。飲食店やコンビニなどで箱ごと持ち去るケースが目立つ。被害に遭った店は鍵を付けたり、こまめに箱から取り出したりして対策に乗り出すが、「情けない」とのため息も漏れる。
警視庁によると、東京都内で東日本大震災の募金箱の盗難はこれまでにスーパーやコンビニなどで約40件あり、被害額は計約97万円に上る。募金箱の盗難は愛知で11件、大阪で15件、兵庫で25件起きているという。
東京都昭島市のコンビニで約1万5千円入りの募金箱を盗んだとして、高校生の少年2人を窃盗容疑で逮捕するなど、警視庁は計5件を検挙した。募金箱はいずれもワイヤなどで固定されていなかったという。逮捕された少年は「レジで偶然、募金箱に手が触れた時、固定されていないことがわかり、盗もうと思った」と話しているという。
神奈川県内の2店舗で義援金の募金箱が盗まれた「スリーエフ」(横浜市)では、フランチャイズのオーナーに対し、募金箱にお札が入ったらすぐに取り出して金庫に入れるよう指示。募金箱をテープで固定した店舗もある。担当者は「震災では多くの善意をいただいている中で、それを盗むような行為には憤りしかない」と話す。
牛丼チェーンの「すき家」では震災後の3月中に福岡市と神戸市の店舗で盗難が相次いだ。経営するゼンショーによると、系列の飲食店で他にも数件の被害があったという。募金箱はワイヤなどで固定はせず、レジ横やカウンターといった目立つ所に置いたのが狙われた。担当者は「鍵やワイヤにお金をかけるぐらいなら、被災地に1円でも多く回したいのに」と悩む。
ハンバーガーチェーン「マクドナルド」でも、被害が相次ぐ。神戸市東灘区の店舗では4月7日、店員が目を離したすきに、箱をカウンターに固定していたワイヤが切断され、盗まれたという。広報部は「非常に悪質。こまめに集金して被害額を少なくするしかない」と、怒り心頭だ。
全国に1万3千店あるセブンイレブンでも数件の被害があり、4月初めに募金箱の底をレジ台に固定した。一方、ローソンは被害ゼロ。「募金箱の底板を延ばした上にレジの機械を載せており、持ち去れない」。だが、同じ仕組みのファミリーマートでは、底板を壊して無理やり持ち去られる被害があったという。