2014年3月23日(日)

「人間らしく暮らしたい」 生活保護引き下げ、受給者らが集会で訴え

減額による現状を訴える受給者ら=さいたま市浦和区

 「人間らしい生活がしたい」―。4月1日の生活保護基準額の引き下げを前に、県内の受給者らが集会「くらしの最低保障引き下げにNO!」をさいたま市浦和区で開いた。受給者は生活保護費減額により、食費まで切り詰めている切実な現状を訴えた。県内の受給者や貧困問題に取り組む弁護士、司法書士らでつくる実行委員会主催。

 生活保護費は昨年8月から引き下げられ、今年4月に続いて2015年4月と3段階にわたって下げられる。3年で平均6・5%と過去最大の下げ幅で、1世帯当たり最大10%の引き下げ。県内の減額の撤回を求めた審査請求は、これまでに全て棄却されている。

 集会では長友祐三県立大教授が「生活保護攻撃と社会保障制度改悪」と題して基調講演。戦前までは、貧困に対して自己責任という考えが主流で「働かざる者食うべからず」だった。戦後は健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条の制定で、人としての尊厳を社会全体で保障しようと改められ、公的扶助の社会福祉制度ができた。

 だが「国が時計の針を戻そうとしている」と指摘。生活保護の減額は、その動きの一つという。「生活保護の受給者数や保護費が過去最高との発表があるが、10年の調査では受給可能世帯の2〜3割しか利用できていない。捕捉率も諸外国に比べて異常に低い」と長友さん。「命と暮らしを守る社会保障の制度を残すのが重要」と述べた。

 受給者と支援者からの声では、6人が登壇した。

 51歳の男性は、仕事を失い3人の子どもが小中高時代から6年間受給している。男性と妻、長女が働いていても生活はぎりぎり。減額が追い打ちをかけているという。

 ホームレスとして3カ月間、野宿生活をした男性(28)は、NPOの世話で生活保護を受けるようになった。「仕事はしているが、病気を幾つも抱えており、いつ働けなくなるか」と不安を口にする。医療費も掛かるので今回の減額はつらいという。

 病気がある男性(50)は「切り下げを決めた人に、減額した生活保護費で耐えられるか、3カ月でいいから生活してほしい」と訴えた。

 古城英俊弁護士によると、生活保護費引き下げに対する昨年8月からの不服申し立ての審査請求は、全国で1万654件。県内では369件あり、棄却決定の後、約150件が再審査請求。口頭意見陳述を行った。4月の引き下げに対しても審査請求ができるという。今後は全国の動きに合わせて訴訟を提起する構えだ。

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