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近大・京大の研究用原子炉が運転停止 人材教育の不安も
2014.3.23 14:41
国内の教育機関で近畿大学と京都大学の2大学だけが保有する実験・研究用の原子炉が相次いで運転を停止していることが22日、わかった。原子力規制委員会が昨年12月、電力会社の商業用原発だけではなく、実験・研究用の原子炉の安全性も審査する新基準を施行したためだ。現在のところ再開のめどはたっておらず、大学関係者は「研究や実習に原子炉が使えないと原子力関連の人材育成が滞り、長い目でみると原発の安全性の低下を招く」と懸念している。
近大は、大阪府東大阪市のキャンパスの原子力研究所に直径4メートル、高さ2メートルで熱出力1ワットの原子炉を保有。関西電力大飯原発(福井県)1基の約30億分の1と国内最小の原子炉ながら、核燃料を使い熱を発生させる通常の原発とほぼ同じ構造だ。京大も同府熊取町の原子炉実験所に同5千キロワットと同100ワットの2つの原子炉を持つ。
ただ、昨年12月に規制委の安全性審査の新基準が施行され、両大学の原子炉も審査することになった。近大は今年2月に原子炉の運転を停止し、今夏にも審査を申請する予定。京大も今月に1つを止め、5月末にはもう1つも停止。その前後に審査を申請する方針だ。
申請後の審査期間は商業用原発の審査と同様に決まっておらず、審査終了まで当然運転は停止を余儀なくされる。商業用原発並みに航空機の衝突やテロへの対策まで厳格に審査した場合、合格までに時間がかかる可能性がある。
近大原子力研究所の伊藤哲夫所長は「利用できない期間が長引けば、技術者教育に支障をきたす」と心配している。両大学の原子炉で実習した学生の多くは、電力会社で技術者として活躍しており、長期停止は若い技術者の枯渇を招く恐れがある。
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