http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/shukanbunshun110203.html
「有料老人ホーム」の闇
母を死に追いやった「ワタミの介護」
遺族が怒りの告発
ワタミといえば、有料老人ホーム五大ブランドの一角。三年前、その施設であってはならない介護ミスが起きた。
病院の指示は伝わらず、医師への連絡は遅れ、利用者は死亡。遺族には冷たい仕打ちが待っていた。
拡大する老人ホーム市場で忘れられた介護の原点を問う。
「私の母は、ワタミの老人ホームの入居者で、三年前、介護ミスがきっかけで死にました。ワタミの渡邉美樹会長宛に手紙を書きましたが、三年待っても返事はありません。だから、私はワタミの実態をみなさんに知ってもらいたいのです」
そう語るのは、片岡真由さん(仮名)。彼女によれば、平成十九年十二月に神奈川県横浜市のレストヴィラあざみ野に入居していた母親の片岡佳子さん(仮名=当時95)が、施設側のミスで誤嚥を起こし、十八日後に死亡したというのだ。
レストヴィラは、「ワタミの介護」社が全国に展開する有料老人ホームのブランド。同社は、居酒屋チェーンのワタミ株式会社が百%出資している。ワタミの渡邉美樹会長も新聞広告などに登場して、老人ホームの宣伝に積極的だ。
片岡さんは、母親の死亡原因がワタミの介護ミスにあるとして、謝罪を求めてきたが、三年以上経過した今もワタミ側からの謝罪は一切ない。
それどころか、昨年十月に、最後の月の施設使用量約二十万円を支払うよう、ワタミは簡易裁判所へ調停を申し立てたのだ。
「これには驚きました。私たち遺族からすれば、母はレストヴィラの介護ミスが原因で亡くなったわけで、まずはワタミこそ、事故が起きた後の入院費用を払うべきです。ワタミが責任を認めれば、払うべき費用はお支払いしようと思っています」(片岡さん)
一体、レストヴィラあざみ野で何が起こったのか。このホームの居室数は百四十五。ワタミの中では二番目に大きな施設というだけあって、内部は中庭が吹き抜けになっており、開放的な印象だ。施設内の通路も大きく、綺麗に掃除されていてホテルのような造りになっている。
「もともとあざみ野のホームは、別の会社が運営していました。それが経営難でワタミの買収されて、以前から入っていた入居者は、そのままワタミでお世話になることになったのです。ワタミの前にも経営者が代わっていたので不安でしたが、よく宣伝で見かけるワタミだったので期待感はありました」(別の入居者家族)
だが、実際に運営が始まってみると、入居者家族の期待は崩れ去ったという。
「ホーム内の職員数はいつも足りず、介護は戦争状態。食事を入居者に食べさせながら、別の用事を片付け、また慌てて戻って来て詰め込む。車椅子の入居者をエレベーターに一人で放置してしまい、降りられなくなって最上階と一階を行ったり来たりして困っていた方も見かけたことがあります。胃ろうを付けている人に、和菓子を食べさせようとしているのを見つけて止めたこともありました。私の母も誤嚥を起こしやすい状態だったので心配していたんです。いつか事故が起こるんじゃないかと」(片岡さん)
胃ろうとは、口から食事を摂れなくなった患者の胃に穴を開け、チューブを通して栄養を入れる器具のこと。治療中、口から固形物を入れることはできない。
誤嚥とは、食べ物や液体などが、誤って気管に入ってしまうことだ。だ液や胃の内容物が逆流して起こることもあり、飲み込む力が低下した高齢者が起こしやすい。誤嚥で肺炎にかかってしまうと、死亡率も高い。
事故が起こる二カ月前の平成十九年十月。佳子さんは誤嚥性肺炎を患い、胃ろうを造る手術をしていた。
遺族が抱いた三つの疑問
「母は体調が回復して、十二月十九日に退院したのですが、まだ口から食事を摂れない状態だったので、胃ろうをつけたままホームへ戻ってきました」(同前)
片岡さんの不安はすぐに現実のものとなった。片岡さんによると、退院した佳子さんには、医師から次のような指示があったという。
胃ろうからの経管栄養注入後、最低でも一時間は右側を下にして横にした状態でいること。また吐きやすい状態なので義歯を入れないこと。口腔マッサージ、嚥下体操を行うなどの申し送り事項があった。
「心配だったので、母が退院した日に、自分とワタミのスタッフでミーティングを行いました。その場で病院から指示のあった母のケアに対する要望を伝えたのです」(同前)
これで注意事項は確認してもらったと片岡さんはひと安心していた。ところが、事故はその翌日に起きる。
十二月二十日、ワタミの看護師が佳子さんにお昼の経管栄養注入を行い、十四時ごろ終了した。だが、その二十分後に介護職員が義歯を入れてしまい、佳子さんは栄養剤を嘔吐してしまったのだ。
看護師がバイタルチェック(体温、血圧、脈拍などを測定すること)をして経過を見た結果、体調が戻ったと判断。夕方五時半から七時まで予定通り経管注入(夕食)を行なったが、その後、容態が急変。夜八時にチェックをすると、体に震えが認められ、四十度を超える高熱があった。結局、病院に搬送されたのは、深夜十二時過ぎ。体温は四十二度まで上昇した。
誤嚥性肺炎を起こした佳子さんは、医師の治療も虚しく、二週間後の翌年一月七日に肝不全で息を引き取った。
片岡さんが、無念そうに当時の状況を振り返る。
「母は高齢でしたが、病院の治療のおかげで、体調はよくなっていました。なのに、退院した翌日に誤嚥を起こすなんて。前日に経管後一時間は動かさないと、あれだけ確認したんです。でも、事故当日は経管二十分後には車いすに乗せられ、義歯まで入れられました。昼食時に私の姉が来て『入れ歯を入れてもらっていいか』と看護師に確認してお願いしたからというのですが……」(同前)
片岡さんの姉は、離れたところに住んでいたので、佳子さんの詳しい容態を知らなかったという。
「当時は、姉にもきつく当たりました。事情を知らない姉は、母の車椅子を押して館内を移動していました。ですが、ワタミ側のスタッフが申し送り事項を把握していれば、義歯を入れてはいけないことを姉に伝えてくれたはずです。後で直接そのスタッフに確認すると『義歯を入れてはいけないことを知らなかった』と泣いて謝ってきました。私はスタッフから現場に連絡事項が伝わっていなかったと知らされて愕然としました」(同前)
事故後、片岡さんがスタッフに直接聞き取りして、ワタミ側にも当日の記録を提出させた結果、三つの疑問点が浮かび上がってきた。
①佳子さんのケアについての申し送り事項が、なぜスタッフに伝わっていなかったのか。
②事故当日、嘔吐した後に、なぜ医師へ連絡しなかったのか。
③夕食時には熱が出ていたのではないか。なぜバイタルチェックをしなかったのか。
片岡さんはこう話す。
「打ち合わせでは、医師から細心の注意を払って介護にあたるように指示が出ていました。嘔吐した後も看護師の判断で医師へ連絡せず、夕食時にもう一度経管した際、看護師はバイタルチェックをしていなかった。夕方には、熱が出ていた可能性があるのに、母は夜まで放置されていたのです」
これに対して、ワタミは保険会社に調査を依頼。その報告書によると、弁護士が誤嚥と佳子さんの死に関する因果関係を否定している。理由は、佳子さんが十二月二十日に入院した後、一時肺炎の症状が治まっており、その後に持病の糖尿病が悪化して腎不全で死亡したためとある。つまり、誤嚥性肺炎は直接の死因ではないから、法律上の損害賠償責任はないという主張なのだ。
非を認めないワタミ側の言い分に納得できなかった片岡さんは、神奈川県の国民健康保険団体連合会(国保連)と県の高齢福祉課に相談した。高齢福祉課に小誌が取材したところ、ワタミの責任者を呼んで、「改善計画書」を提出させ、指導したという(ワタミ広報は「事実確認のご連絡は受けましたが、指導は受けていません。改善計画書も提出しておりません」と回答した)。
医師はワタミを厳しく批判
国保連は、片岡さんの疑問点①~③について、現地調査を実施。調査後、「介護サービス苦情処理結果通知書」を片岡さんとレストヴィラあざみ野へ送付している。
実際の通知書から引用してみよう。まず①の「申し送り事項の伝達」について。
<昼食時の経管栄養後二十分で車椅子に移乗した点については、現地調査において担当した介護職員が連絡ノートの確認を怠ったためであると確認しました。(中略)片岡様を担当した介護職員が連絡しなかった事実を重く受け止め、その内容が正確に職員に伝わるように引継ぎを徹底する必要があると思います>
次に③の「夕食時になぜバイタルチェックをしなかったか」について。
<医療従事者(看護師)が経管栄養注入前に嘔気・顔色観察をしたところ異常がないため、夕食時の経管栄養注入を行ったとのことでした。(中略)片岡様が落ち着いた状態であったとしても、「誤嚥のハイリスク状態」であり、嘔吐後の身体状況を注意深く観察する上でも、様子観察だけではなく、夕食時の経管栄養注入前には、体温・呼吸等のバイタルチェックを行うなどの慎重な対応も必要だったと思います>
以上の二点については、明らかにワタミのミスを認めている。さらに、通知書には「その他」として、ワタミの苦情対応について、次のように注意している。
<今回の片岡様の苦情は、損害賠償の問題が含まれていたことから、事務所自ら苦情対応する問題とは捉えておらず、適切な苦情内容への対応がなされていませんでしたし、苦情内容の記録もありませんでした。(中略)介護サービスの提供に係わる苦情は、損害賠償等の内容が含まれていたとしても、広く苦情として受け止め、誠意ある苦情対応を行い、その内容を必ず記録する必要がありました>
国保連が片岡さんの疑問に関して、ワタミの対応を問題なしとしているのは、②の「嘔吐後、医師への連絡しなかった点」についてだ。「通知書」は以下のように記してある。
<バイタルチェック後嘔吐症状が消失し顔色が普通になったことや片岡様がご家族とともに車椅子で館内を移動していることを考えると、必ずしも、医療従事者(看護師)がホームドクターに連絡しなければならない状況にあったとまでは言えないと思います>
国保連はこう判断しているが、実際に佳子さんの誤嚥の治療した医師は、ワタミの対応を厳しく批判する。
「レストヴィラの看護師もケアスタッフも医療や介護の知識がなさすぎます。事故のあった日、片岡さんは義歯を入れられ、嘔吐しました。普通の看護師ならここで医師へ連絡して支持を仰ぐべきです。誤嚥性肺炎は三十分で熱が出る人もいれば、数時間後に熱が出る人もいます。それは患者によって様々なのです。看護師なら、誤嚥を起こしたら肺炎を疑わないといけない。もっと早く病院へ連れてゆけば、適切な治療ができた可能性はあります」(担当医師)
この医師は胃ろうの手術の時の担当医でもある。佳子さんのカルテを見ながら、当時を振り返って肩を落とした。
「胃ろうの手術をした後、佳子さんは歌を歌えるくらいまで回復して、会話もできたのです。とはいえ、誤嚥を起こしやすい状態なので、経管栄養はしばらく続ける判断をしました。その際、病院のスタッフから、レストヴィラあざみ野へ病院の指示を伝えました」
にもかかわらず、誤嚥事故は起きてしまった。
「佳子さんが嘔吐した経管栄養剤はアイソカルといいます。アイソカルのような高カロリーの栄養剤で誤嚥を起こした場合、唾液などにより菌が繁殖しやすい。下手をすると一日で死亡するケースもある。つまり、肺炎になるリスクが高いので、迅速な治療が必要だったのです」
この医師は、誤嚥と死因との因果関係を否定した保険会社の調査にも応じるが、保険会社の報告書には次のような意見を述べた。
「高齢者が誤嚥性肺炎を起こしたら、合併症を疑うのは常識です。誤嚥性肺炎を起こして、体力レベルが落ちたから合併症を引き起こしたのです」
ワタミの介護は、佳子さんの誤嚥事故をどう思っているのか。
一月十六日、清水邦晃社長を自宅で直撃した。
――――片岡さんの誤嚥事故を把握しているのか?「あざみ野で誤嚥……ええ、あったと思います。でも今その案件についてと言われても正直細かいところまでお話できません」
渡邉会長の理念はどこに
翌日、親会社のワタミ本社から「誤嚥事故について説明させていただきたい」と連絡があり、取材班は本社へ向かった。ところが、ワタミ側の回答は次のとおりだった。
「今は、裁判中なのでお話できません。片岡さんの病状に関する個人情報が含まれるので、裁判が終わったら話せるのですが。だから、そちらが片岡さんのお話を元に、事実を推定して記事を作られてもやむをえないと思います」 事実関係だけでも確認したいと再三申し入れても、埒が明かなかった。
ワタミの元幹部が明かす。
「組織として守りの意識が強い会社だから、渡邉さんの理念や哲学に反する出来事が起きても、現場では、できるだけ表沙汰にならないようにする。誰だって怒られたくないから。現場も医療知識が十分とはいえない。彼らが見ているのは入居者じゃなくて、上司なのです」
そもそも、居酒屋チェーンを経営するワタミがなぜ介護事業に参入したのか。ワタミの渡邉会長はHPに、そのきっかけについてこう記している。
<祖母と父の車椅子を押した時、私は本当に幸せでした。何かをさせてもらって、たくさんの有難うをもらって、私は本当に幸せでした。この幸せを求めての介護参入だとあらためて気づかされました>(渡邉美樹.net 二〇〇五年二月二十五日より)
しかし、佳子さんの誤嚥事故やワタミの対応を見る限り、会長の理念が実現しているとは思えない。
「TVでは渡邉会長の顔を見ると、すぐにチャンネルを変えてしまいます。彼は我々入居者家族の要望など聞いてくれない。他の入居者が改善を求める手紙を書いても対応してくれてません。皆、そのうち要望を書くことをあきらめてしまう」(片岡さん)
渡邉会長に今回、取材を申し込んだものの、広報は「スケジュールが合わない」と回答し、話を聞く機会は得られなかった。
片岡さんがため息まじりに言う。
「私たち家族は、ワタミに謝罪して欲しい。ただ、それだけなんです。私は現場のスタッフを責めているわけではありません。彼らは母によくしてくれました。あるスタッフは、意識が高くて研修もちゃんと参加していたらしいのですが、介護に関する研修ではなく、渡邉会長の本を読んで感想文を書かされたと怒って帰ってきたのを覚えています。その職員さんは、まもなく辞めました。ワタミは入居者を集めることばかり考えているのではないでしょうか。人手不足に陥ったり、社員教育を怠って事故が起こりやすい態勢を作っているワタミの会社としての姿勢が問題なんです」
渡邉会長は、ワタミの介護のHPで、<すべての方に「ワタミのホームに親を入居させたいと思う子は親孝行だ」と言っていただけるホームにする>と宣言している。
だが、前出の元幹部はこう話した。
「現場で働く職員の中には『自分の親はワタミには絶対に入れたくない』と言う人もいます」
今一番必要なことは現実に目を向けて、誠実な対応をすることではないか。
「朝日新聞」(2013年10月7日9時7分)より抜粋
http://www.asahi.com/national/update/1007/TKY201310070012.html
老人ホーム、運営転々でサービス低下 突然の値上げも
「(運営方針は)『ワタミの介護』の設定にさせていただく。私どもでダメならば、撤退します」
神奈川県内の有料老人ホーム「ネクステージあざみ野(現レストヴィラあざみ野)」3階の食堂。施設の運営を従来の会社から引き継ぐことになった「ワタミの介護」が2007年5月、入居者の家族らを集めた会議で、清水邦晃社長が運営方針の変更を受け入れるよう迫った。
「ツカツカと入ってきて椅子にも座らず、書類を机にドンと置いて。あれじゃ脅し。耳を疑いました」。当時90歳を超えていた母親を施設に入れていた女性(71)は振り返る。
この会議の半月ほど前、清水社長は工事関係者を引き連れて現れ、「施設を改装します」といきなり告げた。持ってきた風呂場などの図面を配り、看護師の常駐をなくすなどの運営方針の変更も一方的に通告した。入居者の家族らが猛反発し、清水社長との話し合いは進まないまま。「撤退する」という発言が飛び出したのは3回目の会議だった。
「運営会社が変わるのはワタミで4社目。会社が変わるたびに心配だったが、ワタミは大手だから『もう倒産はないよね』と期待していました。でもここまでひどいことになるとは」と元家族会の一人は言う。
04年の開設当初は、高級さに加え、医師が常駐することが「売り」だった。女性は、自宅からも近かったから安心して母親を預けた。だが入居者が思うように集まらず、半年後に米国の不動産ファンドに売られ、06年春には別の事業会社に売られた。その後4社目の名乗りを上げたのが居酒屋チェーン店から介護ビジネスへ参入したワタミだった。
最初の買収で米国の不動産ファンドが経営権を握ったときに、医師の常駐がなくなり看護師だけに。それでも不安だったのに、ワタミは看護師の常駐まで廃止するという。家族会は神奈川県に指導を要請し、何とかワタミに看護師の常駐を認めさせたが、その他は「ワタミ流」をのまざるを得なかった。
毎月の管理費に含まれていた光熱費と水道代計4200円が新たに取られることになった。散歩も外の公園に車で老人を連れて行く際は1回500円の有料に。一方、「コスト削減」でカラオケ機材や各部屋に引かれた有線放送は廃止された。豪華施設の象徴だった、浴室から眺められる滝の水も止められた。
介護体制も、スタッフ1人に対して入居者2人の体制が2・5人に変わった。「責任をもって介護ができない」と、なじみのベテラン職員たちが辞めていった。そんな中、08年に母親が肺炎で亡くなった。
「母は胃ろうをしていたから、義歯を入れないことや体位の入れ替えは一定時間あけるように医師から指示され、施設側にもそれを求めていた」。ところが、介護の際に施設のスタッフの間で「連絡ミス」があったため、肺炎を起こしたと女性は訴える。「経験の浅い職員に入れ替わる一方、入居募集に力を入れたために入居者は増え、明らかに人手は足りていなかった」
ワタミ側は「ミス」を認めていない。だが、施設と入居者のトラブルを調べる神奈川県の国民健康保険団体連合会(国保連)は、ワタミ側への聞き取り調査で医師の指示が十分に伝わっていなかった「連絡ミス」があったと結論づけた。
「いつか問題が起きるのではと心配していたが、まさか自分の母親がそうなるなんて……」。女性は今でも悔しい思いが消えない。
ワタミ側に改めて見解を聞いたところ、朝日新聞に対して「人員不足や効率優先でサービスが低下している認識はない」(広報グループ)との回答を寄せた。
「週刊現代」(2011年2月12日号)より抜粋
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=230&issue=28981
〈徹底検証シリーズ あの人気「老人ホーム」は本当にいいのか〉
急躍進!ワタミの評判と現実
一生懸命なのはいいけど
外食・居酒屋チェーンで知られるワタミグループが介護事業に本格進出していることはご存知だろう。「ワタミは‘04年、訪問介護・看護を中心とする『ワタミメディカルサービス㈱』を設立し、翌‘05年に神奈川県を中心に有料老人ホーム<レストヴィラ><トレクォーレ>を運営する『㈱アールの介護』の全株式を取得、本格的に施設介護事業に参入しています(‘06年に介護事業を『ワタミの介護㈱』に統合)。早い段階からこの業界のオピニオンリーダーになるという強い意志を持っていました」(有料老人ホームなどの開設支援コンサルティング業務を行うタムラプランニング&オペレーティング・田村明孝代表)
左ページ上の図のとおり、当初は不採算だったワタミの介護事業だが、十数棟だったホームは現在では60棟以上に増え、徐々に利益を見込めるようになってきた。有料老人ホーム業界では、早くも上位の大手5指に食い込んでいる。
介護・医療ジャーナリストの長岡美代氏が語る。
「ワタミの介護の特徴は、『4大ゼロ』運動。これは、入居者の自立を目標に、おむつゼロ、車椅子ゼロ、経管食ゼロ、特殊浴(機械浴)ゼロを目指すという取り組み。介護の質を判断しにくい家族にとってこの看板はわかりやすい」
だが、理想を求め、急速な拡大路線を選んだことによる弊害もあるようだ。
「拡大路線の反動で、ホームによって管理者、ケアの質にかなりのバラツキがあります。参入当時と比べると介護の質そのものは改善されてきていますし、職員の教育、研修にも力を入れているとは言っていますが、いかんせん新ホーム開設のピッチが早すぎて、人材の育成が追いつかないのです」(前出・田村氏)
母親がワタミの老人ホームに入居している神奈川県在住のある男性が話す。
「ホーム長がコロコロと変わるのは感心しませんね。ホーム長は施設の顔ですし、そういう立場の方が頻繁に動いてしまうのは、家族にとっても『ここは本当に大丈夫なのか』と心配の種になりかねないと思います」
別の入居者の家族の女性もこんな不安を漏らす。
「食事や入浴などの際、職員やスタッフの方はとにかくきびきびと動いてくれるのですが、中には明らかに経験不足で自信がなさそうにしている若い方もいらっしゃるんですね。一生懸命なのは伝わってくるんですが何かあったら心配で」
入居金上限は1000万円
「週刊文春」(2月3日号)は、3年ほど前、胃瘻(胃に穴を開けて管を通し栄養分を注入すること)の女性(当時95歳)がワタミ側のミスで誤嚥による死亡事故を起こされ、遺族との間で裁判になっていると報じている。
事実関係の詳細や責任の有無は別として、こうしたトラブルが起こる土壌がないとは言い切れない部分があるのかもしれない。
ワタミの介護の現場を知る医療コンサルタントはこう話す。
「職員たちのレベルは本当に維持できているのかという懸念があります。どうしても、学びながら走っているような印象を受けるのです。ワタミの有料老人ホームは自立支援を謳っていますから、24時間看護師が常駐するような施設はほとんどありません。それでも、時には看護師並みの知識や経験が要求されるのが介護の現場ですから」
もともとの基盤が外食であるため、ワタミは充実した“食”を前面に打ち出している。だが、前出の田村氏はこれに異を唱える。
「入居者が過剰に期待してしまっていることを差し引いても、目玉のはずの食事にがっかりしたという声は少なくありません。実際に私もホームを訪れ、入居者さんに出すというちらし寿司とシャケを出されて食べましたが、シャケはしょっぱ過ぎで、まさに居酒屋の味でした。高齢者にはつらいのではないでしょうか」
さて、こうした評判は果たして正しいのだろうか。
ワタミの介護の原点
渡邉会長は、自分自身に介護が必要になったとしたら、まよわずワタミのホームに入るという。「自分や自分の親が入ることを前提に介護を考えているから」だという。
この理想を、介護スタッフ全員が実際に行動に換えて実現できるか。本当の躍進はそこにかかっているようだ。
「ワタミ株式会社」(2011.1.27 本日の一部報道について)より抜粋
http://www.watami.co.jp/pdf/110127.pdf
平成23年1月27日
各 位
本日の一部報道について
本日、一部の報道におきまして、当社子会社のワタミの介護株式会社(以下、ワタミの介護)が運営する介護付有料老人ホーム「レストヴィラあざみ野」に入居され既にご逝去されている入居者様のご逝去の原因がワタミの介護にあるかのごとき内容の記事の掲載がありました。
しかしながら、当社はご逝去に対する法的責任はないものと確信しております。
上記記事の内容は、事実を正確に記載せず、意図的に、あたかも当社に法的責任が存するかのような記載であり、当社といたしましては、当該記事の掲載につきましては、法的手続きも含め然るべき対処を行なう予定です。
なお、掲載されている入居者様の件につきましては現在、裁判所において調停手続きが進行中であり、詳細に関するコメントは差し控えさせていただきます。
以 上
本件に関するお問い合わせ先
ワタミ株式会社 広報グループ
グループ長 斎木 雄二
電話:03-5737-2784
「週刊ダイヤモンド」(2012年03月31日号)より抜粋
http://dw.diamond.ne.jp/contents/2012/0331/index.html
Part5 老人ホームランキング 全国1721ホームを大解剖(P146)
8指標で31都道府県別に格付け有料老人ホーム「ランキング表の見方」
ランキング方法
評価は八つの指標で行い、合計得点(100点満点)の高い順に都道府県別ランキングを作成した。介護が必要な人専用または多数を占める「介護型」と、自分の身の回りのことはできる人向け、または健常者でも要支援、要介護状態の人でも入れる「自立・混合型」に分けて作成している。ただし、自立・混合型のホーム数が4以下のエリアは、単一のランキングとしている。また、東京都と神奈川県の介護型は5年総費用が2500万円以上と2500万円未満で別々にランキングを作成している。アンケート実施は2012年1月下旬。
※介護型か自立・混合型かの判断は、原則として居室のタイプ(自立者向けの一般居室か介護居室か)、入居の条件(自立か要介護か)などによって下した評価項目の採点方法
①入居率(25点満点)⇒高いほど経営が安定
95%以上・・・25点、90%以上95%未満・・・20点、80%以上90%未満・・・15点、70%以上80%未満・・・10点、60%以上70%未満・・・5点、60%未満・・・0点
②看護・介護体制の充実度(看護職員および介護職員1人当たりの特定施設入居者生活介護の利用者数)(20点満点)⇒人数が少ないほど、看護・介護体制は充実
1.5人以下・・・20点、1.5人超2.0人以下・・・15点、2.0人超2.5人以下・・・10点、2.5人超・・・5点
③介護福祉士の介護職員に占める比率(15点満点)⇒高いほど、介護体制の充実に熱心
30%以上・・・15点、20%以上30%未満・・・10点、10%以上20%未満・・・5%、10%未満・・・0点
※介護福祉士、介護職員とも常勤の専従・非専従、非常勤の専従・非専従
④事業経験年数(10点満点)⇒2011年12月31日を基準日とした。長いほど、運営経験が豊富
10年以上・・・10点、5年以上10年未満・・・7点、5年未満・・・5点
※経営母体が変わったホームでも実質的な運営状況が変わっていない場合は、基本的に以前の経営母体の開始年月を採用した
⑤介護職員(常勤)の退職率(10点満点)⇒高いほど、職員の待遇・福利厚生に問題あり
15%未満・・・10点、15%以上30%未満・・・7点、30%以上50%未満・・・5点、50%以上・・・0点
⑥夜間看護体制の状況(10点満点)⇒万一のときに看護職員がいると安心
24時間常駐・・・10点、オンコール体制・・・5点、なし・・・0点
※実際に24時間常駐、オンコール体制でも夜間看護体制の加算が取れていないものは「なし」とした
⑦個別機能訓練の有無(5点満点)⇒リハビリへの取り組み姿勢
あり・・・5点、なし・・・0点
⑧医療連携の有無(5点満点)⇒協力医療機関との連携の状況
あり・・・5点、なし・・・0点
●5年総費用
原則として、終身利用をする際の入居金、月額利用料(60カ月分)の合計。入居金には、初期償却や入居機関に応じて償却されるもののみを含めている。償却期間が5年(60カ月)を超えるものでも総額を含めている。月額利用料は、基本的に「管理費+食費+光熱費」。食費は自炊ができるホームでも、毎日ホームで提供される食事を食べたものとして加えてある。別途家賃、上乗せ介護費用などが発生するホームはそれを加えた。介護保険の1割負担分は含んでいない。
【計算式】5年総費用=入居金+月額利用料×60カ月
<順位・ホーム名・所在地・運営会社・入居定員(人)・5年総費用(万円)・合計得点(①~⑧)>
【埼玉県 介護型】
72位/76位・レストヴィラふじみ野・ふじみ野市・ワタミの介護・61人・2,126万円・合計47点(①20点、②15点、③5点、④7点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
74位/76位・レストヴィラ大宮・さいたま市・ワタミの介護・71人・2,126万円・合計42点(①5点、②15点、③10点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
76位/76位・レストヴィラ川口安行・川口市・ワタミの介護・121人・1,775万円・合計30点(①15点、②10点、③0点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
【千葉県 介護型】
64位/73位・レストヴィラみつわ台・千葉市・ワタミの介護・70人・1,521万円・合計50点(①25点、②10点、③10点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
72位/73位・レストヴィラ成田・成田市・ワタミの介護・68人・1,515万円・合計45点(①20点、②15点、③0点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
【東京都 介護型 5年総費用2500万円以上】
62位/64位・レストヴィラ世田谷船橋・世田谷区・ワタミの介護・86人・2,534万円・合計50点(①25点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
【東京都 介護型 5年総費用2500万円未満】
182位/236位・レストヴィラ錦糸町・墨田区・ワタミの介護・100人・2,044万円・合計55点(①25点、②15点、③10点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
182位/236位・レストヴィラ一之江・江戸川区・ワタミの介護・60人・1,824万円・合計55点(①25点、②15点、③10点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
182位/236位・レストヴィラ堀之内・八王子市・ワタミの介護・77人・1,615万円・合計55点(①15点、②20点、③10点、④10点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
226位/236位・レストヴィラ中村橋・練馬区・ワタミの介護・131人・2,214万円・合計45点(①20点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
236位/236位・レストヴィラ赤塚・板橋区・ワタミの介護・96人・2,004万円・合計35点(①20点、②10点、③0点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
【神奈川県 介護型 5年総費用2500万円未満】
102位/226位・レストヴィラ本厚木・厚木市・ワタミの介護・50人・1,856万円・合計60点(①20点、②20点、③10点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
118位/226位・レストヴィラ洋光台・横浜市・ワタミの介護・67人・1,916万円・合計57点(①20点、②15点、③10点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
182位/226位・レストヴィラ元住吉・川崎市・ワタミの介護・62人・1,626万円・合計57点(①25点、②15点、③10点、④7点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
118位/226位・レストヴィラ大和・大和市・ワタミの介護・56人・1,466万円・合計57点(①25点、②15点、③5点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
138位/226位・レストヴィラ溝の口2・川崎市・ワタミの介護・60人・2,075万円・合計55点(①25点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
138位/226位・レストヴィラ溝の口1・川崎市・ワタミの介護・42人・1,975万円・合計55点(①25点、②20点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
138位/226位・レストヴィラ南台・相模原市・ワタミの介護・48人・1,465万円・合計55点(①15点、②20点、③5点、④10点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・トレクォーレ横須賀・横須賀市・ワタミの介護・59人・2,264万円・合計52点(①15点、②20点、③5点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・レストヴィラ十日市場・横浜市・ワタミの介護・72人・1,995万円・合計52点(①20点、②15点、③5点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・レストヴィラ座間谷戸山公園・座間市・ワタミの介護・104人・1,960万円・合計52点(①25点、②10点、③5点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・レストヴィラ名瀬の里・横浜市・ワタミの介護・55人・1,945万円・合計52点(①20点、②15点、③10点、④7点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・レストヴィラ高座渋谷・大和市・ワタミの介護・60人・1,526万円・合計52点(①25点、②15点、③0点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
163位/226位・レストヴィラ高津・川崎市・ワタミの介護・66人・1,526万円・合計52点(①25点、②15点、③5点、④7点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
179位/226位・レストヴィラ鎌倉常盤・鎌倉市・ワタミの介護・114人・2,085万円・合計50点(①25点、②10点、③5点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
179位/226位・レストヴィラ弥生台・横浜市・ワタミの介護・54人・1,974万円・合計50点(①25点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
179位/226位・レストヴィラ綱島・横浜市・ワタミの介護・80人・1,928万円・合計50点(①25点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
179位/226位・レストヴィラ相模原中央・相模原市・ワタミの介護・80人・1,855万円・合計50点(①20点、②10点、③10点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
179位/226位・レストヴィラ座間・座間市・ワタミの介護・42人・1,690万円・合計50点(①15点、②10点、③15点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧5点)
179位/226位・レストヴィラ伊勢原・伊勢原市・ワタミの介護・50人・1,676万円・合計50点(①25点、②10点、③5点、④5点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
206位/226位・レストヴィラあざみ野・横浜市・ワタミの介護・145人・2,235万円・合計45点(①20点、②15点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
206位/226位・レストヴィラ浜川崎・川崎市・ワタミの介護・58人・1,875万円・合計45点(①25点、②10点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
206位/226位・レストヴィラ厚木・海老名市・ワタミの介護・77人・1,343万円・合計45点(①5点、②15点、③10点、④10点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
214位/226位・レストヴィラ南鴨宮・小田原市・ワタミの介護・65人・1,466万円・合計42点(①15点、②15点、③0点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
217位/226位・レストヴィラ北鎌倉・鎌倉市・ワタミの介護・99人・2,016万円・合計40点(①25点、②10点、③0点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
217位/226位・レストヴィラ海老名・海老名市・ワタミの介護・70人・1,766万円・合計40点(①20点、②10点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
217位/226位・レストヴィラ久里浜・横須賀市・ワタミの介護・74人・1,756万円・合計40点(①20点、②10点、③5点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
220位/226位・レストヴィラ湘南平塚・平塚市・ワタミの介護・91人・2,066万円・合計37点(①10点、②15点、③0点、④7点、⑤0点、⑥5点、⑦0点、⑧0点)
226位/226位・レストヴィラ綾瀬・綾瀬市・ワタミの介護・58人・1,693万円・合計35点(①0点、②15点、③10点、④10点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
【兵庫県 介護型】
36位/39位・レストヴィラ神戸伊川谷・神戸市・ワタミの介護・50人・1,633万円・合計55点(①25点、②15点、③10点、④5点、⑤0点、⑥0点、⑦0点、⑧0点)
「毎日新聞」(1月12日(土)2時31分配信)より抜粋
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130112-00000008-mai-soci
<介護施設>東京・板橋で女性水死 職員が入浴時放置
居酒屋チェーンなどを展開する「ワタミ」(東京都大田区)のグループ会社「ワタミの介護」が運営する板橋区の介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ赤塚」で昨年2月、運動障害を起こすパーキンソン病の女性(当時74歳)が入浴の際、付き添いの職員が1時間半にわたって風呂場を離れ、女性が水死していたことが分かった。施設側は当初、遺族に病死と説明していた。警視庁高島平署は業務上過失致死容疑で捜査を始めた。
女性の長女(47)によると、女性は09年にパーキンソン病と診断され、10年12月に施設に入所。昨年1月末ごろからは施設内で転倒を繰り返していた。
事故は昨年2月16日に発生。女性は午後2時15分ごろから入浴し、午後3時40分ごろ、風呂場で心肺停止状態で発見された。介護保険法に基づく施設サービス計画書では「本人の様子を見ながら必要であれば洗身、洗髪を行う」などと規定されているが、職員は入浴中、一度も女性の様子を確認しなかったという。
施設側は事故後、遺族に「10分間、目を離した間に心肺停止になった。病死の可能性が高い」などとしていた。しかし、高島平署が施設内の防犯カメラを調べたところ、虚偽の説明だったことが判明。死因も水死と分かった。施設側はその後、「ほかに入浴者がおり、手が回らなかった」などと釈明した。
女性の長女は「ずさんな施設に母を入所させてしまったことが悔しくてならない」と涙ながらに語った。
高島平署は施設側に過失がなかったか、当時の状況や職員の体制などを調べる。ワタミの広報担当者は「警察の捜査に全面的に協力しており、コメントは差し控えたい」としている。【和田浩幸】
「ワタミ株式会社」(2013.1.12 本日の一部報道について)より抜粋
http://www.watami.co.jp/pdf/130112.pdf
http://www.wataminokaigo.net/upload/release/20130112%20akatsuka%20houdou.pdf
平成25年1月12日
各 位
ワタミの介護株式会社
代表取締役社長 清水 邦晃
本日の一部報道について
本日、一部の報道におきまして、当社が運営する介護付有料老人ホーム「レストヴィラ赤塚」においてご入居者様が入浴中にお亡くなりになり、現在、所轄警察署の捜査中である旨の記事の掲載がありました。
報道されたホームにおいてご入居者様が入浴中にお亡くなりになったのは事実であり、現在、当社におきましては、警察の捜査に全面的に協力をしている状況です。
お亡くなりになられたご入居者様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様には謹んでお悔やみを申し上げます。
本件に関するお問い合わせ先
ワタミグループ 広報グループ 電話:03-5737-2784
【備考】「介護 求人【e介護転職】介護求人情報サイト」より抜粋
http://www.ekaigotenshoku.com/kyujin/detail.cgi?id=25224
ワタミの介護株式会社
事業所名 レストヴィラ赤塚
募集職種 介護職(ヘルパ-)
雇用形態 パート
サービス名 有料老人ホーム
勤務地 東京都板橋区赤塚新町2-7-16
給与 時給920円~
給与 時給920円~
(5:00~8:00は早朝手当として時給+100円、深夜は時給1.25倍、深夜残業の際は時給1.5倍)
≪パートスタッフにも資格手当てが導入されています≫
介護福祉士 時給+50円
介護職員基礎研修終了 時給+30円
ヘルパー1級 時給+20円
社会福祉士 時給+50円
精神保健福祉士 時給+50円
管理栄養士 時給+50円
栄養士 時給+30円
※介護福祉士、介護職員基礎研修終了、ヘルパー1級の複数を持っている場合は上位資格のみ支給
※管理栄養士と栄養士両方を持っている場合は管理栄養士のみ支給
※介護支援専門員資格を持っている場合は+50円
「ワタミの介護株式会社」(ご家族様 各位)より抜粋
https://twitter.com/ora3298/status/294660708770148352
2013年1月
ご家族様 各位
ワタミの介護株式会社
代表取締役社長 清水邦晃
拝啓
寒さ厳しき折、皆様にはご清祥のことと、お慶び申し上げます。日々のご指導、ご鞭撻、誠に有り難く、厚くお礼申し上げます。
さて、過日の「レストヴィラ赤塚」における、ご入居者様が亡くなられたという事故報道に際し、皆様にいかほどのご心痛、ご心配をおかけしたことかと存じ、お詫び申し上げたいと存じます。
昨年2月、当該ホームにて、入浴中のご入居者様が心肺停止で発見されるという事故があり、緊急搬送後、ご入居者様の死亡が確認されました。
大切なご家族様を亡くされたご遺族のご無念を思い、また、信頼してお預けいただいたはずの弊社のホームで発生した事故であるということについて、弊社社員一同重く受け止めております。
私どもにとりましても悲しみの極みです。亡くなられたご入居者様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族には心から哀悼の意を表します。
このたびの事故をうけ、ご家族様に代わってご入居者様のお世話をさせていただき、安全を守る役割を担う私どもは、より一層の安全確保に努めなければならないと覚悟を新たにいたしております。同様な事故の再発防止のため、定時の見守りを徹底し、入浴時の安全を確保するよう、ルールを再徹底いたしました。
事故死ということで、発生直後より警察による調査が続いていること、また、ご遺族のご感情、プライバシーに配慮し、これまで本件に関する発表は行ってまいりませんでした。また、これまで、行政、警察を含めしかるべき機関に対し、弊社では事実を逐一報告し、全面的な協力をいたしており、一部の報道にあったような事故を隠蔽したことはございません。
「ホームはご入居者様の幸せのためだけにある」という理念の下、これまで以上に、ご入居者様にとり安心で温かなホームを、スタッフ一人ひとりがご入居者様とつくっていくことで、失った信頼を挽回いたしてまいる所存でございます。
今後とも、ご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
「週刊文春」(2013年6月20日号)より抜粋
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2807
ワタミ「介護ビジネス」死亡事故で賠償命令
自民党ブラック候補追求 大反響第2弾
渡辺美樹会長は遺族恫喝「1億円欲しいのか!」
ワタミといえば居酒屋のイメージが強いが、グループの営業利益の四四%をたたき出しているのは、実は介護事業である。国内外食事業の営業利益ニ十七・一億円に対して、介護事業は四十四・ニ億円となっている(十ニ年度)。
ところが、ワタミグループ会社「ワタミの介護」が運営する施設では、事件や事故が多発しているのだ。
昨年ニ月、板橋区にあるレストヴィラ赤塚で、大場スミエさん(当時74)が浴中に溺死した。
事件が起きたのは、昨年ニ月十六日。大場さんは午後二時十三分に入浴し、三時八分に発見されたときには鼻から下が水に浸かり、心肺停止だった。介護スタッフは八十五分もの間、一度も状況を確認していなかったのである。事故直後、ワタミは遺族に「十分間、目を離した間に心肺停止になった。病死の可能性が高い」と報告していた。
警察が過失致死容疑で捜査
だが、警視庁高島平署が施設内の防犯カメラを押収して調べたところ、ワタミ側の説明が虚偽だと判明。さらに司法解剖の結果、溺死をわかったのだ。
大場さんは、パーキンソン病を患っていたが、認知症の症状はなく、意識も明瞭で会話もできたという。「支援経過記録」などによれば、大場さんは一月ニ十五日から五回も転倒事故を起こしている。対策がまったくとられていなかった理由は、「スタッフが他の入居者の対応で見守りができていなかった」と記されている。
大場さんの長女で、龍谷大短大部社会福祉学科講師の大場智美氏が振り返る。「事件から今までワタミ側から公式に何の謝罪もありません。一月三十日の運営懇談会で母の死亡原因について説明されるはずだったのですが、ワタミから『参加しないでください』と言われ、資料すらもらえなかったんです」
大場氏は事故直後のワタミの対応に憤りを隠さない。
「ワタミは罪を犯したという意識が薄すぎます。急死の場合、証拠保全する必要があるのですが、ワタミは事件後すぐに風呂をかたづけたり、衣服を洗濯するなど、隠蔽が疑われるような形跡もある。警察は業務上過失致死容疑で捜査していますが、何が起こったのかを明らかにしてもらいたいと思っています」
(中略)
なぜ、ワタミの介護施設では、ありえないトラブルが多発しているのか。
その要因は、人員不足にあると考えられる。昨年四月、大場スミエさんの事件を受けて調査した東京都福祉保健局は、施設管理者宛てに書面で、このような「改善の提案」をしていた。
<事故報告等の記載から人員不足が事故の原因のひとつであることが推測できる。(中略)分析を行い、入居者に適切なサービスを提供できる人員を確保すること>
入居者の家族たちは「ワタミの施設は人数が少ない」と口を揃える。神奈川県の施設に母を入居させていた女性は「母を預けたことを後悔している」と言う。「母が入居していたホームでは、副ホーム長や経験のあるスタッフが、『ここでは責任ある介護ができないから』とどんどん辞めていきました。また、ギリギリの人数でやっているせいか、朝の勤務を突然休む人が出ても、代わりのスタッフがいませんでした」(同前)
現在もワタミに籍を置くスタッフが打ち明ける。
「ワタミの場合、ホームごとに独立採算で黒字になるよう、収入に応じて、従業員の月の総労働時間が決められていきます。現場では、黒字が出るように、総労働時間や人員を調整せざるを得なくなるのです。入居率が低いホームは、実際に必要な人員数とは関係なく、人を増やせない。そのせいで、見守り体制がとれず転倒事故や、業務の手抜きが頻発しています」
【追記】「神戸新聞」(2013年7月8日)より抜粋
http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201307/0006142269.shtml
「ワタミの介護」入浴の女性死亡 業過致死容疑で捜査
居酒屋チェーン「ワタミ」のグループ会社「ワタミの介護」が運営する介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ弁天町」(大阪市港区)で5月、入所者の70代女性が入浴中に死亡していたことが8日、大阪府警などへの取材で分かった。
府警港署は業務上過失致死容疑の可能性もあるとみて、施設の職員らから当時の状況を聴取するなどして、慎重に捜査を進めている。
府警や大阪市福祉局などによると、女性が死亡したのは5月7日の昼ごろ。施設内の風呂場で入浴中に体調が悪化し、意識を失った。女性は病院に搬送されたが、死亡が確認された。
「ワタミ株式会社」(2013.7.9 本日の一部報道について)より抜粋
http://www.watami.co.jp/pdf/130709h.pdf
平成25年7月9日
各 位
ワタミ株式会社
代表取締役社長 桑原 豊
本日の一部報道について
本日、一部の報道におきまして、弊社グループ会社のワタミの介護株式会社が運営する介護付有料老人ホーム「レストヴィラ弁天町」においてご入居者様が入浴中の事故によりお亡くなりになり、現在、所轄警察署の捜査中である旨の記事の掲載がありました。報道されたホームにおいてご入居者様が入浴中にお亡くなりになったのは事実であり、警察の捜査に全面的に協力しております。
ご遺族の皆様をはじめ、ご心配ご迷惑をおかけしている皆様に、深くお詫び申し上げます。
現在、ワタミの介護株式会社におきましては再発防止に努めるとともに、ご遺族の皆様にも誠心誠意対応させていただいております。今後は、6月に設置した外部有識者による検討委員会でもワタミの介護株式会社の業務の確認をいただき、その提言にもとづき業務運営に反映してまいります。
お亡くなりになられたご入居者様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様には謹んでお悔やみを申し上げます。
本件に関するお問い合わせ先
ワタミ株式会社 ブランド広報グループ 電話:03-5737-2784
「ワタミの介護株式会社」(2013年07月09日本日の一部報道について)より抜粋
http://www.wataminokaigo.net/upload/release/2013.7.9%20bentenchou%20houdou.pdf
平成25年7月9日
各 位
ワタミの介護株式会社
代表取締役社長 清水 邦晃
本日の一部報道について
本日、一部の報道におきまして、弊社が運営する介護付有料老人ホーム「レストヴィラ弁天町」においてご入居者様が入浴中の事故によりお亡くなりになり、現在、所轄警察署の捜査中である旨の記事の掲載がありました。報道されたホームにおいてご入居者様が入浴中にお亡くなりになったのは事実であり、警察の捜査に全面的に協力しております。
ご遺族の皆様をはじめ、ご心配ご迷惑をおかけしている皆様に、深くお詫び申し上げます。
現在、弊社におきましては再発防止に努めるとともに、ご遺族の皆様にも誠心誠意対応させていただいております。今後は、6月に設置した外部有識者による検討委員会でも弊社業務の確認をいただき、その提言にもとづき業務運営に反映してまいります。
お亡くなりになられたご入居者様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様には謹んでお悔やみを申し上げます。
本件に関するお問い合わせ先
ワタミ株式会社 ブランド広報グループ 電話:03-5737-2784
「しんぶん赤旗|日本共産党 - 日本共産党中央委員会」(2013年09月22日号)より抜粋
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/
■連続追及 ブラック企業 ワタミの介護
条例違反 事故隠し
労基署 サービス残業是正勧告
介護事業者としての資格を疑わせる事故隠しや過重労働―。日曜版(8月25日号)で報道した「ワタミの介護」に新疑惑です。その後の取材で、行政も動き出す条例や法違反の数々の問題点が浮かび上がってきました。
日曜版が問題を指摘したのは、横浜市のワタミの介護施設。関係者によれば職員会議でホーム長が日曜版記事を示し、「なぜシフト表(勤務表)が外部に漏れたのか」などと注意し、本部の社員がスタッフを個別に事情聴取するなど“犯人探し”をしています。
記事の内容は2点でした。
―介護保険法にもとづく条例で事故発生時には市町村などに報告するように定められているのに、未報告のケースがある。重大な事故隠しだ。
―正社員のなかには夜勤が月9回という人もおり、夜勤明けのサービス残業は常態化していた。
まずは最初の問題。介護付き有料老人ホームは、神奈川県の条例で事故発生時に行政に「事故報告書」を提出する義務があります。問題の施設を所管する横浜市の要領では、「事故報告書」提出前、事故発生時に電話やファックスで速やかに行政に「第一報」を伝えることとなっています。
日曜版が「事故報告書」が未報告と指摘したのは「2012年5月29日、朝食時に入居者の容体が急変し、救命センターに運ばれた後、死亡」したというケース。この記事を受け横浜市高齢施設課が同社に照会すると、やっと事故報告書1件が提出されました。本社担当者は同課に「事故報告書は当時作成してあり、提出したと思っていた」と弁明しました。しかし、実は未報告は他にも多数あることが分かりました。
編集部は情報開示請求で、同施設が市に提出した11年度以降の事故報告書を入手しました。
事故報告書の報告件数は11年度57件、12年度は22件、今年度4件(8月末まで)と減少。12年度では4~7月の4カ月に一度も事故が起きてないことになっています。
この数字について、同施設に在職していた看護師は疑問を呈します。
「事故の件数が年ごとにそれほどばらつくことも、医療機関を受診するなど報告を要する事故が4カ月発生しないこともありえない」
証拠もあります。編集部が入手した同施設の業務連絡メールには、事故報告がされていないとみられるケースがいくつもあります。412-1:昨日夜間居室にて転倒される。右脇腹から右腰背部にかけて痛み強度。寝返り、起き上がり、移乗、苦痛困難である。2cm大の打撲痕(青アザ)右側腰辺りに2ヶ所あり、その周辺、うっすら腫脹みられる。ご家族様が来訪され、ご本人様の希望もあり、整形受診される。レントゲン検査の結果、第6,7肋骨骨折の診断あり。2ヶ月程度痛みは続くだろうが、処方されているナパゲルンクリーム塗布にて様子観察とのこと。
308:9:00・ベッドからのずり落ちあり。頭部打撲無し。臀部アザ無し。昨日から右肩に痛みあり。みせていただくと、右肩と左肩がかなりずれており、脱臼している疑いがあり、クリニックで受診。受診にて、レントゲン検査の結果、骨に異常無し。右肩が捻挫に近い亜脱臼とのことで、湿布を処方される。
14:00・居室にて、ベッドから右肩を下にした状態で転倒される。BP160/80P78SAT94%。頭部打撲はしていない様子。外傷無し。立ち上がりの際、下肢に力が入らず介助にて椅子へ移乗する。
15:00・整形受診。レントゲン検査の結果、骨に異常無し、脱臼無し。右肘が変形性関節症の為拘縮してきており、また痛みの訴えがある為、右腕を動かさないことで右肩が亜脱臼の様な状態になることがある為、三角巾で右腕を固定しています。
神奈川県内のワタミの介護施設の伝達メール。入居者の事故と受診の経過が記載されているが、行政には報告されていない
しかも市の要領で、事故報告の前に出すことになっている「第一報」についても同市高齢施設課はこんな実態を明かします。
「実は、2011年度以降、同施設から第一報は一度も伝えられていなかった」
同課は「ワタミの介護」本社担当者に、「他にも同様の案件がないか、過去にさかのぼって提出を」「介護事業者として要領に基づく事故報告のあり方の見直しを」と口頭指導しました。
労基署 サービス残業是正勧告
この施設について日曜版は、労働者の過重労働も指摘しました。この点について神奈川県内の労働基準監督署が動いていたことが分かりました。
神奈川県内の労基署は1月、問題の施設を立ち入り調査し、是正勧告を出していました。スタッフのサービス残業や休憩の確保など労働基準法に抵触する問題が見つかったからです。
30時間連勤も
労基署に訴えた関係者は問題の施設の労働実態を明かします。「24時間超の連続勤務はざらだ。ひどい時は退勤後も職員会議への参加などで、30時間連続勤務なることもあると訴えた。調査後に労基署の担当者は、資料などを調べた結果、私の訴えたことがおおむね確認できたと話していた」
「朝日新聞」(2013年9月29日 日曜日)より抜粋
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309280578.html
(限界にっぽん)第5部・アベノミクスと雇用:1 老人ホームを青田買い
効率優先 人員は最低限
買収合戦の過熱が値上がりしても、その恩恵は働く人には届かない。
「そんなこと書いちゃダメ。マズいから、書き直して」。施設トップのホーム長の言葉に、当時勤めていた女性看護師は耳を疑った。
介護事業会社「ワタミの介護」(東京)が経営する神奈川県内の老人ホームで昨春、前夜の状況を引き継ぐ会議でのことだった。 夜勤責任者のケアワーカーが、ある入居者について「ベッドから落ちたが、けがはないので様子見した」と報告書を読むと、ホーム長がすぐさま書き直しを命じた。
この施設では夕方6時以降、看護師が常駐せず、翌朝8時までケアワーカー3人で約60人の入居者を見る。夜間に転落などの「事故」が起きた時は、自宅待機の看護師に連絡し、処置を仰ぐことになっていた。
ルール違反の発覚をおそれて、ホーム長は「様子見した」という報告書を、「自宅待機の看護師に報告した」と書き直させた。
入居者への薬の飲ませ忘れや取り違えも数え切れなかった。誤って薬を飲ませれば重大事故につながる可能性もある。配薬ミスを聞いた主治医が、「いい加減にしろよ」と怒鳴ることもしばしばだったという。
酸素ボンベの操作ミスで女性入居者が意識不明に陥ったり、徘徊ぐせのある男性の部屋に鍵をかけ忘れ、深夜2時に5キロ離れた場所で警察に保護されたこともあった。「本来なら自治体に事故報告書を提出するケースさえ、もみ消されていた」と関係者は証言する。
「経営効率を優先するから、人員は最低限。だから入浴や排泄の介助が重なると、誰もいないことも多かった。便で汚れたまま、数時間も放置された老人もいた」。同じ「ワタミの介護」で勤務したことのある元ケアワーカーは慢性的な人手不足を挙げる。
こうした問題に、ワタミグループは「事故隠しの事実はない。人手不足でサービスが低下している認識もない」(広報)としている。