報道ステーション「子どもの甲状腺がんと原発事故」で気になった不誠実さ
2014年03月13日
テレビ朝日の報道ステーションは3月11日に「子どもの甲状腺がんと原発事故」を特集した。「よくぞ報道した」という称賛と「危機感を過剰にあおっている」という批判の双方がネットで飛び交っている。自宅で番組を見た私は、子どもが甲状腺がんと診断されたお母さんの話に「福島の現実」を改めて思い知らされ、胸が痛んだ。と同時に、番組構成にある種の不誠実さを感じずにはいられなかった。心配する親たちに「ここまでのことはわかっている」という情報提供が欠けていたからだ。
特集は、福島県で震災当時18歳以下の子ども約27万人のうち33人が甲状腺がんと診断され、摘出手術を受けたことの紹介から始まり、匿名ならと取材に応じてくれたお母さんのインタビューのほか、福島県民健康管理調査の責任者である鈴木真一福島県立医大教授や原発事故直後から福島県のアドバイザーになった山下俊一長崎大学教授、チェルノブイリ原発のあるウクライナの医師や京都大学の今中哲二助教といった専門家たちのインタビュー、そして福島やチェルノブイリの現地取材映像が流れ、この問題を包括的に伝えようとしていた。
甲状腺がんと診断されても「周りに言わない方がいい」と言う医師がいたり、家族の中でも夫から「放射能の話はするな」と言われてタブーになってしまっていたり、当事者のつらい状況がまずはひしひしと伝わってくる。県民健康管理調査が本人たちへの説明が不十分な形で進められてきたことも、大きな課題として伝わってきた。
そして、・・・・・続きを読む
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- 高橋真理子(たかはし・まりこ)
朝日新聞編集委員。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディターなどを務める。著書に『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓−巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。
WEBRONZA編集部
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