霧島:韓国岳北東で地震が急増 鹿児島・宮崎県境 

毎日新聞 2014年03月22日 03時00分(最終更新 03月22日 10時21分)

韓国岳=2013年4月、重春次男撮影
韓国岳=2013年4月、重春次男撮影

 ◇専門家が注視 地震急増後の噴火例に雲仙・普賢岳噴火

 鹿児島・宮崎県境の霧島・韓国(からくに)岳(1700メートル)北東側で地震が増えている。GPS(全地球測位システム)による地盤変動観測でも、地下のマグマだまりに新たなマグマが供給されていることが示されている。霧島では2011年に新燃(しんもえ)岳で大きな噴火があった。専門家は「新たな噴火の可能性もある」と注視している。

 地震は長さ約4キロ、幅約1.5キロのエリアで、ほとんどは体感できない揺れ。気象庁火山課によると昨年11月には地震はなく、12月に1回だったのが、今年は1月=23回▽2月=8回▽3月=34回(20日現在)−−起きた。これらは震源が特定できた例だけで実際には更に多い。震源の深さは0〜3キロと浅い。

 菅野智之・火山活動評価解析官は「マグマだまりの膨張に伴い浅い部分で地震が起きたとみており、マグマの上昇によるとは考えていない。現時点で11年のような噴火に直結する動きはないが、活発化の可能性はある。警戒したい」と話す。

 霧島の火山活動に詳しい鹿児島大の井村隆介准教授(火山地質学)は、マグマから分離した火山ガスや水蒸気が地盤を割って地震を起こした可能性を指摘する。霧島市など両県の7市町でつくる「環霧島会議」作成の霧島火山防災マップでは、えびの高原付近は「火口が形成される可能性のある地域」に指定されている。

 火山で地震が急増し、その後噴火した例がある。長崎県雲仙・普賢岳噴火(1990年〜)では約4カ月前から地震が急増した。北海道・有珠山噴火(2000年)でも数日前から地震が多発。一方、岩手県・岩手山では98年に一時期地震が増え地盤変動も観測されたが噴火はしなかった。

 井村准教授によれば韓国岳では今後(1)地震が終息する(2)えびの高原付近で新たな噴気が上がる(3)噴火し火山灰や溶岩などが出る−−などの展開が考えられるという。「気象庁などが出す情報に注意してほしい」と話している。【山崎太郎】

最新写真特集