中国出身で神戸大大学院教授の王柯氏が、1日に中国を訪問した後、連絡が取れなくなっていることが22日、大学関係者への取材で分かった。神戸大が情報の収集を進めている。王氏は、ウイグル族など中国の少数民族問題も研究テーマにしている。
日本にいる王氏の家族から神戸大に寄せられた情報によると、王氏は1~10日の日程で中国に出張すると届け出て、予定通り1日に出発した。
帰国予定の10日になって、日本の家族に「母親の具合が悪くなったので様子を見に行く。10日ほどかかる」と連絡があり、その後所在が分からなくなった。母親は中国の西安に住んでいるといい、家族が王氏の母親に直接連絡を取ると、元気で、王氏の訪問もなかったことが分かったという。 王氏は、21日にシンガポールで開催されるシンポジウムに出席する予定だったが、主催者には本人の名前で欠席が通知されたとしている。
王氏は、神戸大大学院国際文化学研究科に所属。中国の近現代政治思想史が専門で、著作には「東トルキスタン共和国研究」などがある。
中国では、昨年7月に出身地の上海を訪れた東洋学園大教授の朱建栄氏が当局に身柄を拘束され、今年1月に解放された。中国での学術調査が違法な情報収集に当たるとする嫌疑を掛けられ、スパイ容疑で取り調べを受けていたという。(共同)