大津市でいじめを受けた市立中学2年の男子生徒(当時13)が2011年10月に自殺した問題で、大津家裁は18日、暴行などの非行内容で家裁送致された元同級生の少年3人(いずれも16)のうち2人を保護観察処分とし、もう1人は処分しないことを決めたと発表した。決定は14日付。

■口にハチの死骸・暴力…

 決定によると、保護観察処分になった2人は11年9~10月、市内の陸上競技場で男子生徒の口にハチの死骸をのせたり、プールサイドやトイレで殴ったりしたほか、テストの成績カードを破るなどした。

 丸山徹裁判長は「男子生徒が表面上は強い抵抗をしない中で、言動がエスカレートし、『からかい』『ふざけ合い』の限度を超えた」と指摘。「短期間とはいえ、継続的に暴行を受けた身体的、精神的な苦痛が軽いものであったとは認めがたい」と判断した。

 処分しなかった1人は、2人と一緒に男子生徒の手足を縛り、口に粘着テープを貼るなどの暴行をしたと認めたが、「男子生徒との関わりは薄く、継続的に暴行していたとまでは認められない」と判断した。

 家裁などによると、今回の少年審判は、裁判官3人による異例の合議。非公開で計7回開かれた。今年1月には男子生徒の父親(48)が陳述し、「将来のためにも少年院で更生教育を施すべきだ」と主張。今月14日に少年や保護者が出廷し、決定が出された。

 一般に、保護観察処分は20歳になるまで保護観察官や保護司の指導を受けて生活するという。決定に不服があれば2週間以内に高裁に抗告できる。

 この事件をめぐっては、男子生徒の遺族が12年7月に暴行や器物損壊など6容疑で少年3人を県警に刑事告訴。県警は、暴行や器物損壊容疑で当時14歳の2人を大津地検に書類送検し、刑事罰に問われない当時13歳の1人を児童相談所に送致した。児相は昨年3月、地検は同5月に家裁送致していた。

 ■男子生徒の父「更生を願う」

 自殺した男子生徒の父親(48)は大津家裁の決定を受けてコメントを出し、「裁判所の判断として重く受け止める。ただ、告訴した非行事実のすべてを認定するには至らなかった」と悔しさをにじませた。

 学校と市教委のいじめ調査について「県警と連携して迅速に調査していれば、より詳細な真相究明ができたのではないか」と改めて指摘。元同級生3人に対し、「真摯(しんし)に反省し、被害者に謝罪することで初めて更生の道が開けるのではないか。非行事実に向き合って反省し、一日も早く更生することを願う」とした。

 大津市教委の本郷吉洋委員長は「子どもたちが安心して学べる学校づくりのため、市長部局などと連携を強める」とコメント。大津市の越直美市長も「事件への反省を決して忘れず、子どもの声に耳を傾け、いじめ対策に全力で取り組む」と談話を出した。

 「いじめが自殺の直接的要因」と結論づけた市の第三者調査委員会で委員長を務めた横山巌弁護士(52)は、元同級生3人について「裁判所の判断を一つの区切りに、しっかりと立ち直って、社会の中で頑張ってほしい」と話した。