ビットコイン:政府見解は「モノ」 通貨とみなさず
毎日新聞 2014年03月06日 06時57分(最終更新 03月06日 08時58分)
◇売却益は課税対象 規制の具体化は不透明
インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」を巡って政府は、ビットコインを通貨とは認めず「モノ」とみなす見解を固めた。貴金属などと同じ「モノ」として扱うことを明示することで、ビットコインの売却益に所得税を課すことができるとの認識を示す。ただ、現行法の範囲内でどう対応できるかを示すに過ぎず、与党内で高まる新たな規制の具体化については明確にしていない。
民主党の大久保勉参院議員が2月下旬、ビットコインに関する質問主意書を政府に提出。政府は7日、閣議決定を経てこれまでに得た情報や認識をまとめて明らかにする。菅義偉官房長官は「(回答を)策定中。情報収集に各関係省庁が全力で取り組んでいる」と述べた。
政府関係者によると、回答ではビットコインを通貨ではなく「モノ」とみなし、貴金属や骨董(こっとう)品の売買で得た利益に課税されるようにビットコインの売買でも売却益があれば所得税を課税できるとの見解を示す。ビットコインを決済に使った企業に対し収益に応じて課税できることや、ビットコインの購入時などに消費税がかかることも盛り込む。
また、銀行など金融機関には、銀行法で指定された業務以外は認められていないことなどを理由に、ビットコインの売買の仲介や通貨との交換ができないことを明示する。
5日の自民党IT戦略特命委員会では、ビットコインの扱いが議論され、平井卓也委員長は「実効性のある規制ができるか考える」と述べ、新たな規制導入を検討する方向で大筋で一致した。
ビットコインを巡っては大手取引所のマウント・ゴックス(東京)が2月28日に経営破綻。ビットコインが既存の法律の空白地帯にあったことで、消費者保護の観点などから関係省庁で規制の是非が議論されている。
ビットコインの取引所の経営実態や国内での活用例は、まだ全容が明らかになっていない。課税がきちんと行われる仕組みが整えばビットコインの取引量が国内で減る可能性がある。しかし、「日本だけで厳しく課税や規制をしても対応が未整備の別の国に移るだけ」(金融庁幹部)で、規制強化には国際的な議論が不可欠だ。