自転車事故:発生率、大阪と香川が最悪
毎日新聞 2014年03月03日 12時55分(最終更新 03月03日 21時18分)
◇08〜12年 対策遅れ固定化
自転車乗用中の死傷事故の発生率を毎日新聞が都道府県別に調べたところ、香川県と大阪府が2012年までの5年間、ワースト1、2を占め続けていることが分かった。両府県以外でも、ランキング上位の自治体は固定化する傾向にあり、自転車レーンの整備の遅れなどが一因になっているとみられる。専門家は「行政が実効性のある事故対策をできていないことの表れだ」と指摘している。
公益財団法人「交通事故総合分析センター」の都道府県別死傷者数データを基に、人口10万人当たりの死傷者数を算出した。数が最も多かったのは、08〜11年が香川、12年が大阪。2位は08〜11年が大阪、12年が香川で、両府県がワースト1、2を続けている。
12年のデータでは、10万人当たりの死傷者数は全国平均で103.3人。これに対し大阪は178.7人、香川は173.0人で、ともに1.7倍に達した。3位以下は、群馬(157.8人)、埼玉(151.4人)、静岡(146.1人)が続いた。逆に少なかったのは、長崎(19.7人)、島根(24.9人)、秋田(28.1人)の順だった。
08〜12年の5年間にワースト5に名を連ねたのは香川、大阪を含め8都府県。ランクインした回数は香川、大阪、埼玉が5回、群馬と岡山が3回、愛知が2回で、上位の顔ぶれはほぼ固まっていた。
ランキング上位の府県ほど、事故率の減少ペースも鈍い。5年間で20.1%減少した香川は全国平均(19.1%)をやや上回ったものの、大阪は12.0%、群馬は7.0%、埼玉は18.2%、静岡は6.9%にとどまった。
自転車政策に詳しい山中英生・徳島大大学院教授は「歩行者の事故対策に比べ、自転車はマナー違反の議論などにとどまり、実効性のある対策ができていないことが多い。ランキング上位の自治体は自転車の利用も多く、事故原因をしっかり分析し、ユーザーの安全を守る義務がある。自転車の在り方を考えるスタートにすべきだ」と指摘している。【馬場直子】