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【政治】

首相 了承なく「推進」 核燃サイクル 与党協議の中

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 安倍晋三首相が二十四、二十五両日にオランダ・ハーグで開かれる第三回核安全保障サミットで、原発の再稼働を前提に、使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の推進を表明することが分かった。核燃料サイクルを「推進する」と明記した政府のエネルギー基本計画案に対しては、与党内で反対論が根強く、まだ閣議決定がされていない。政府・与党の意思決定前に、世界に向けて日本が将来も原発を維持する方針を発信することになる。

 プルトニウムは核兵器の材料となるため、利用目的がはっきりしないまま大量に保有していれば、テロや核拡散を招くとして国際社会から疑念を持たれる。日本は長崎に落とされた原爆の五千発以上に相当する四十四トンものプルトニウムを保有している。

 首相は核サミットで「利用目的のないプルトニウムはつくらず、保持しない」との方針を表明。安全が確認された原発は再稼働させて、核燃料サイクルによりプルトニウムを使っていく考えを示す。

 ただ、大量のプルトニウムを消費するのに何年かかるかの見通しは立っていない。再利用を名目に長年にわたって原発を動かし続けることになりかねない。

 核燃料サイクルに関しては、取り出したプルトニウムを利用するはずだった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)はトラブル続きでほとんど動いていない。通常の原発で使用済み核燃料のプルトニウムを使うプルサーマル発電も、通常の核燃料に比べて二倍の高レベル放射性廃棄物が発生するなど問題が多い。

 

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