オーストラリア英語と同じくらい独特なものは、その移民と多文化主義の歴史だ。そのため国中にさまざまなアクセントや方言が存在し、英語をほとんど話さない地域もある。

 シドニーは、「オージー英語」が、外国出身の祖先が持ち込んだ言語と非常にうまく共存している好例だ。オーストラリア統計局によれば、シドニーがあるニューサウスウェールズ州は外国生まれの人口がもっとも多い。なんとシドニー住民の78%もがオーストラリア生まれではないのだ! 特にシドニー中心部のヘイマーケットやチャイナタウンでもっとも聞かれる外国語は中国語やタイ語、そしてインドネシア語だ。

 シドニー近郊では、同じ国から移住してきた人同士が固まり、コミュニティーをつくるようになった。

 たとえばハーバーフィールドやライクハートでは、イタリア語が、家族がだんらんする裏庭やレストランのお客やスタッフ、店主たちの間で、はたまたヨーロッパからいっしょに移住してきた古い友人たちの間から聞こえてくる。

 一方、カブラマッタではベトナム語が聞けるだろう。家族同士、友達同士で囲んだフォーの器の湯気越しに、あるいは街の生鮮市場で、早口のベトナム語が聞こえてくる。