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【大相撲】

琴欧洲 涙の引退 「お相撲さんになってよかった」

2014年3月21日 紙面から

◇春場所<12日目>

引退会見で涙をぬぐう元大関の琴欧洲(畦地巧輝撮影)

写真

(20日・ボディメーカー コロシアム)

 大関鶴竜(28)=井筒=が全勝の横綱日馬富士を送り出しで破って1敗を守り、綱とりへ大きく前進した。遠藤(23)=追手風=は松鳳山を寄り切って星を五分に戻し、史上最速の三役昇進へ夢が膨らんだ。稀勢の里を押し倒した横綱白鵬(29)=宮城野=が唯一の無敗となった。また、11日目に休場した関脇琴欧洲(31)=佐渡ケ嶽=が現役を引退。欧州出身初の大関も務めたブルガリア生まれの先駆者は、会見で涙を見せながら「悔いはない」と話した。20日付で年寄琴欧洲となり、部屋付き親方として後進を指導する。

 ブルガリアから来日して12年。「若い衆のときは親方は大変厳しかった。忘れたいくらい。でも、今振り返ってみても、いい思い出しか出てこない。ほんとに、お相撲さんになってよかったです」。ヨーロッパ初の大関として道を切り開いてきた琴欧洲は、あふれる涙をタオルでぬぐった。

 最後の取組は10日目の白鵬戦。その取組前に引退を決意していたと打ち明けた。「白鵬関と巡業で毎日のように稽古をして…。最後に白鵬関と相撲を取ることができた。思い切りぶつかってお客さんにいい相撲を見せたかった」。右膝に古傷を抱え、昨年九州場所で左肩を脱臼。史上4位、47場所在位した大関から陥落した。

 それでも、「まだまだ相撲を取ると思って大阪に乗り込んだ」。ところが、「場所に入ってから思うように動けずに連敗して…」。白鵬戦を取り終えてから、「土俵下に下りて、自分の気持ちが震えました。横綱の顔を見ることができませんでした。これで自分の終わりがきた」。取組後の涙はそういう理由だった。

 欧州出身初の三役を史上1位タイ(1958年の年6場所制以降、幕下付け出しは除く)の所要14場所で、欧州出身初の大関を史上1位(同)となる所要19場所で駆け上がった。

 横綱昇進こそかなわなかったが、「心技体がそろわなかった。(琴奨菊に)自分がかなえられなかった夢、先代(元横綱琴櫻)の夢、綱を締めて先代のお墓の前で土俵入りできるように頑張ってほしい」と話した。

 相撲とは何か。そう聞かれると「相撲はすべて。自分の人生です。今までも、これからも…」。支度部屋ではとても無口な男が熱く語った。これから琴欧洲親方として第二の人生をスタートする。 (岸本隆)

 

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